「残ったドリンク流す場所」じゃありません えちごトキめき鉄道の観光列車に残り続ける「昭和の遺産」
昭和のなつかしさを感じる特急列車
同社経営企画部総務課の広報担当・高地久美子さんによると、洗面台の脇にあるのは痰壺で間違いない。観光急行の1号車であるクハ455-701という車両に設置されているという。
「この車両は、サハ455-1として1971年に完成しました。1986年に実施された先頭車化改造によりクハ455-701となりましたが、当時のままJR西日本からいただいたので痰壺も残っています」
洗面台と同様に痰壺も現役ではあるのだが、「車両清掃にあたっている会社によりますと、これまで使った形跡はないということです」。そもそも乗客が痰壺と認識していない場合も多いそうだ。
「455系」の車両は急行電車用に大量に製造され、かつては日本中を走り回っていたという。しかし現在では老朽化が進み、現役で動いているのは「クハ455-701」だけ。非常に貴重な車両だ。
しかも、車内の中吊りでは1968年のダイヤ改正や1970 年代に国鉄が行っていた「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンの広告の掲出や、壁面にも国鉄時代の地図の貼り出しなど、ノスタルジーに浸ることができるような環境作りも行っているという。
装飾だけでなく、「朝から夕まで455」という企画も実施。8時間40分、クハ455-701のボックス座席を占有して連続乗車ができるコースで、"昭和の長距離急行列車の旅"を満喫できる。
観光急行は、土休日と一部の平日に運行。痰壺も含めて昭和の鉄道の雰囲気が味わいたい人は乗ってみてはいかが。