車道のど真ん中で「目を閉じて動かないフクロウ」発見 眠ってる?保護すべき?野鳥救護のプロに聞く
車を走らせていると、地域によってはキツネやタヌキ、シカなどの野生動物に遭遇することがある。
その日、あるツイッターユーザーが道のど真ん中で遭遇したのは、フクロウだった。
しかも、こんな状態で......。
これは2023年6月27日、ツイッターユーザーの山族ゾク(@sanzokukyotei)さんが投稿した写真。
そこには道路の真ん中に、目をつぶりジッとしているフクロウの姿が......。
投稿者・山族ゾクさんは
そこに居たら轢かれちゃうよ!怪我してるのか、寝てるだけなのか全く動かずジッとしたままです
とつぶやいているが、どんな状況だったのか。Jタウンネットの記者は29日、山族ゾクさんに話を聞いた。
道路の端に寄せようとしたら...
山族ゾクさんがフクロウを発見したのは、投稿日である27日の午後9時半ごろ。岩手県内の市道を走っている時だった。
「車で走行中、何か動物がいると気づき、車を止めてみるとフクロウだと分かりました。道路の真ん中で目をつぶってジッとしていたので、ひかれてしまうと思いました」
車の通りは多くなかったそうだが、このフクロウの姿を見て、「危ないな、何とかしなくては」と考えた山族ゾクさん。ひとまず木の棒で触れてみたという。
するととフクロウは目を開け、その場で翼を広げた。しかしその後、また目を閉じてしまったそう。
そこで今度は手袋を付けてフクロウを掴んで道路の端に寄せようとすると、フクロウの目が開き、飛んでいったという。
発見してからフクロウが飛び立つまでの時間は30分くらい。山族ゾクさんは「フクロウが道路の真ん中でジッとしているのを見たのは初めてのことだった」と語った。
では、もし今回のようにフクロウが道路の真ん中でジッとしていたら、どうするのが正解なのか? Jタウンネット記者は6月30日、野生傷病鳥の救護と救護された鳥達を野生復帰させるための活動を行う「日本バードレスキュー協会」理事長の村濱史郎さんに話を聞いた。
「事故以外ではまずありえない」
村濱さんは、フクロウがジッとしていたのは寝ていたのではなく、何らかの傷害を受けたと推測する。
「今回の事例では衝突事故による脳震盪の可能性が高く、それによって動けなくなっていたと思います」(日本バードレスキュー協会・村濱史郎さん)
村濱さんによると、フクロウが道路でジッとしていることは事故以外ではまずありえない。
そして、そんなフクロウに遭遇した場合は、救助する人の安全を第一に、交通状況をよく観察してから保護すべきだという。
「この場合、猛禽類用の厚手の革製グローブ以外はフクロウの爪にかかれば簡単に貫通しますので直接触らず、段ボールなどで上から被せるようにして保護します。外見上、出血や翼の片方が垂れ下がるなどあからさまな骨折がなければ、一時的な脳震盪と考えられますので、安全な道端に寄せてそのまま安静にしておけば2~3時間で回復し飛び立ちます」
もし、外傷があるか、2~3時間経過しても動かない場合は、所轄の行政に連絡してその後の処置を相談するのが良いとのことだった。
「地域によっては、人為的な事故によりケガをした野生鳥獣を預かって治療してくれる獣医師を紹介してもらえる場合もあります。無許可で捕獲することは『鳥獣保護管理法』違反に問われる可能性があります」(村濱史郎さん)