無人の店でボタン押したら「出来たてアツアツそば」登場 JR上野駅「セルフ駅そば」は妖怪の仕業?いえいえ、実は...
自分でバーコードを読み取るセルフレジや、タッチパネルなどを使ったセルフオーダーなど、様々な「セルフ○○」が日常に入り込んできた今日この頃。
JR上野駅では、「駅でお馴染みのあの施設」もセルフ化された。
駅のホームでよく見かける立ち食いそば――いわゆる"駅そば"がセルフになった、「セルフ駅そば」だ。
とはいえ、名前だけ聞いても一体なにが「セルフ」なのかいまいちわからない。
食券買ったらカウンターで丼を受け取り、食べたら器を自分で返す。駅そばって元から結構セルフじゃないか......?
Jタウンネット記者は26日、同店舗を運営するJR東日本クロスステーション フーズカンパニー(本社:東京都渋谷区)に話を聞いた。
自販機1台で全てをこなせる
JR上野駅の「セルフ駅そば」は、米カリフォルニア州のフードテックベンチャー「Yo-Kai Express Inc.」が販売する自動調理販売機「Yo-Kai Express」を使い、そばの提供を行っている。
自販機で食べたいメニューを指定して電子マネーで決済をするだけで、自動で調理された温かいそばが出てくるのだ。
取材に応じたJR東日本クロスステーションの本田彩佳さんによると、「セルフ駅そば」の店がオープンしたのは23年6月20日。場所はJR上野駅の11・12番ホーム上だ。
店舗の利用方法は至ってシンプル。自販機で調理されたそばを、店内の立食スペースで食べ、食事が終わったら、空いた容器や残飯などを同じく店内にあるゴミ箱スペースで片づけて退店するだけ。
商品の補充や定期的な清掃は、近隣店舗などの従業員が行っているそうだ。
自販機作とは思えないほど本格的
「セルフ駅そば」は想像以上にずっと"セルフ"。自販機で飲み物やお菓子を買うような感覚で気軽に利用できそうで嬉しいが......一体、どんな経緯で開業に至ったのだろうか。
本田さんによると、これはコロナ禍での生活様式の変化に伴う「外食の利用動機の多様化」への対応するための取り組み。
「調理・提供に人手をかけないことから、自販機を用いることによる外食産業の人手不足解消への有効性について検証するという目的があります。上野店は、その運営体制や商品などに関する総合的な実証実験の場としてオープンされました」(本田さん)
まだ実験段階とのことだが、記者はもうすでに「セルフ駅そば」が気になって仕方なくなってしまった。といわけで26日、自分で体験することに。
メニューは全4種類で、「たぬきつねそば」「紅しょうが天そば」「ちくわの磯辺天そば」「柚子胡椒香る豚肉そば」がある。記者が選んだのは「たぬきつねそば」。揚げ玉と油揚げがトッピングされた1度で2度美味しいメニューだ。
セルフということでなんとなく、よくあるカップ麺タイプのそばをイメージしていたのだが、実際にはかなり本格的な味わい。1人前のボリュームも十分だった。セルフ駅そば、お見それいたしました!
「セルフ駅そば」のこれからについて本田さんは
「実証実験を経てシステム化ができれば、今後は多店舗展開を検討したいです」
と語る。
あちこちの駅でセルフ駅そばを食べる人の姿が日常風景になる日も、そう遠くはないかもしれない。
JR上野駅「セルフ駅そば」の営業時間は、平日6時~23時、土曜日6時~22時30分、日曜・祝日6時30分~22時(いずれも商品が無くなり次第終了)。
2023年6月29日12時30分編集部追記:営業時間について情報を追加しました。