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三重県だから、ゆっくり鑑賞できるんです 本物から直接型取りした「ミロのビーナス」「サモトラケのニケ」...津市「ルーブル彫刻美術館」が面白い!

松葉 純一

松葉 純一

2023.05.04 18:00
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三重県だから......ゆっくり鑑賞できる

「ミロのビーナス」(ルーブル彫刻美術館ウェブサイトより)
「ミロのビーナス」(ルーブル彫刻美術館ウェブサイトより)

電話取材に応じてくれたのは、ルーブル彫刻美術館の竹川規清館長だった。

「40年以上も昔のことになりますが、祖父・竹川勇次郎がパリ・ルーブル美術館を訪れ、ミロのビーナスのその美しさ、荘厳さに感動したことがきっかけです。
当時は1ドル360円の時代で、実際にルーブルに行ける人は、ごく一部の限られた人だけでした。祖父は、ルーブル側に17回も交渉を重ね、ついに熱意が通じて姉妹館の実現に至ったのです」
「作品はルーブル美術館の作品を直接型取りし、当館の技術陣がその総力を結集して完全復刻に当たりました。世界初の特典だったということです」(竹川館長)

竹川勇次郎氏は、当時、真言宗の大僧正でもあった。「宗教的な背景が、パリ・ルーブル美術館からも信頼された要因の一つだったかもしれません」と、竹川館長は語る。

「けっして営利目的ではない、とご理解いただけたのではないでしょうか」
ルーブル彫刻美術館館内(ルーブル彫刻美術館ウェブサイトより)
ルーブル彫刻美術館館内(ルーブル彫刻美術館ウェブサイトより)

ルーブル彫刻美術館の代表的な作品は、「ミロのビーナス」だろう。

ギリシアのキュクラデス諸島、南西メロス島で発見された「ミロのビーナス」は、数奇な運命を経て、パリ・ルーブル美術館に所蔵されることとなる。高さは214センチ。大理石が原型だが、ブロンズ製で再現され、三重県津市にやってきたのだ。

「ヨーロッパの芸術作品が日本に来る場合、東京や大阪など大都市の美術館で展示されることが多いでしょう。大勢の人が押しかけて、ゆっくり鑑賞することはとても難しいかもしれませんね。その点、三重県津市にある当美術館の場合は、たっぷり時間をかけてご覧いただけます。復刻品なので、数センチ手前まで近づけますし、後ろに回って、360度の角度から鑑賞することも可能です」(竹川館長)

復刻された彫刻作品とはいえ、これほど身近に、じっくり鑑賞できる環境は、なんとも貴重だ。入館者の数を聞いてみると、1日平均50人くらいとのことだった。これなら、自分のペースでゆっくり鑑賞できるだろう(GW期間中は多少多いかもしれないが......)。

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