三重県だから、ゆっくり鑑賞できるんです 本物から直接型取りした「ミロのビーナス」「サモトラケのニケ」...津市「ルーブル彫刻美術館」が面白い!
三重県津市にある近鉄榊原温泉駅前に、「ミロのビーナス」や「サモラトケのニケ」など、世界的に有名な彫刻を観ることができる美術館があると、ツイッターでいま話題になっている。
その名も、「ルーブル彫刻美術館」。読者はご存じだろうか?
ツイッターにはこんな声が寄せられている。
「電車に乗ってて二度見したやつですね。あの時は幻覚が見えたのかと思ってましたわ」
「電車でぼーっと山々を眺めてたら、急に像が現れて異世界かと思った記憶」
「この間出張で近鉄乗ったときに見た! 眠気吹き飛んだ奴」
「三重県に行くと電車からコレが見えていて、いつか行ってみたいと思っています」
電車の中から見かけてびっくりした人が多かったようだ。
三重県津市にある「ルーブル彫刻美術館」とは、いったいどんなところだろう? Jタウンネット記者は、電話で話を聞いてみた。
三重県だから......ゆっくり鑑賞できる
電話取材に応じてくれたのは、ルーブル彫刻美術館の竹川規清館長だった。
「40年以上も昔のことになりますが、祖父・竹川勇次郎がパリ・ルーブル美術館を訪れ、ミロのビーナスのその美しさ、荘厳さに感動したことがきっかけです。
当時は1ドル360円の時代で、実際にルーブルに行ける人は、ごく一部の限られた人だけでした。祖父は、ルーブル側に17回も交渉を重ね、ついに熱意が通じて姉妹館の実現に至ったのです」
「作品はルーブル美術館の作品を直接型取りし、当館の技術陣がその総力を結集して完全復刻に当たりました。世界初の特典だったということです」(竹川館長)
竹川勇次郎氏は、当時、真言宗の大僧正でもあった。「宗教的な背景が、パリ・ルーブル美術館からも信頼された要因の一つだったかもしれません」と、竹川館長は語る。
「けっして営利目的ではない、とご理解いただけたのではないでしょうか」
ルーブル彫刻美術館の代表的な作品は、「ミロのビーナス」だろう。
ギリシアのキュクラデス諸島、南西メロス島で発見された「ミロのビーナス」は、数奇な運命を経て、パリ・ルーブル美術館に所蔵されることとなる。高さは214センチ。大理石が原型だが、ブロンズ製で再現され、三重県津市にやってきたのだ。
「ヨーロッパの芸術作品が日本に来る場合、東京や大阪など大都市の美術館で展示されることが多いでしょう。大勢の人が押しかけて、ゆっくり鑑賞することはとても難しいかもしれませんね。その点、三重県津市にある当美術館の場合は、たっぷり時間をかけてご覧いただけます。復刻品なので、数センチ手前まで近づけますし、後ろに回って、360度の角度から鑑賞することも可能です」(竹川館長)
復刻された彫刻作品とはいえ、これほど身近に、じっくり鑑賞できる環境は、なんとも貴重だ。入館者の数を聞いてみると、1日平均50人くらいとのことだった。これなら、自分のペースでゆっくり鑑賞できるだろう(GW期間中は多少多いかもしれないが......)。
「パチモン感半端ない」けど、中はめちゃくちゃ本格派!
「ミロのビーナス」に次ぐ人気作品は、「サモラトケのニケ」だ。エーゲ海東北のサモトラケ島で発見され、さまざまな断片を合わせ復元したところ、有翼の勝利の女神「ニケの像」であることが分かったもの。1884年、ルーブル美術館の所蔵品となった傑作だ。高さは320センチという大きな作品で、原型は大理石だが、ブロンズ製で再現され、三重県津市に運ばれた。
他にも、円盤投げ像(大英博物館原型所蔵)、モーゼ(ローマ・サンピエトロインヴィリンコリ聖堂原型所蔵)、王妃ネフェルティティの胸像(ベルリン美術館原型所蔵)など、世界中の彫刻作品が多数、復刻品で展示されている。
パリ・ルーブル美術館、大英博物館、ベルリン美術館などヨーロッパ中の美術館巡りをしなければ観ることができない傑作が、(復刻品ではあるが)三重県津市でつぶさに鑑賞できる。美術好きは要チェックだろう。
ツイッターにはこんな声も寄せられていた。
「行ったことありますが、中の展示品もかなり気合入ってますよ。良い意味で裏切られました」
「本物のルーブルの展示品を直接型取ってコピーしたモノが並んでいるそうなので、姉妹を名乗ってもおかしくないのでは」
「三重ルーブルは外のインパクトはすごいのですけど、中は本当に古今東西の造形物が展示してあるので、すごく面白かったです」
「パチモン感半端ないけど、中の展示物はかなり見応えあって、芸術好きにはオススメのスポット」
「面白かった」「見応えあった」など、称賛する人の感想が続々と届いている。
世界の彫刻を鑑賞する、心豊かな休日を過ごすなら、近鉄電車で出かけてみるのはいかが。
近鉄 榊原温泉口駅から徒歩5分。大阪、京都、名古屋からの来場者が多いようだ。