「エイリアンの幼体?」「初音ミクのバラ売りかと」 栃木の植物園で配布されている「謎の物体」の正体とは
「開園して1時間経ちましたが、まだ一つも減ってません」
そんな切ないつぶやきと共に投稿された植物園の「おみやげ」がツイッターで話題となっている。
こちらは、栃木県栃木市にある植物園「とちぎ花センター」公式ツイッターが2023年4月6日に投稿した写真。
「ご自由にお持ち帰り下さい」というメモが貼られたトレイの上に、青や紫、緑といった寒色系のグラデーションが美しい......何だ!?
「水に浮かべると何日か楽しめます」
とも書かれているが、どういうこと? 結局、コレは何なの!?
ズラリと並んだ「得体の知れない何か」に、ツイッター上ではこんな声が寄せられている。
「何だろう、これ... エイリアンの幼体?」
「どう見てもファンタジー世界のアイテムなにこれ」
「初音ミクのバラ売りかと思った」
「捨てるのがもったいない」と思っていたが...
「とちぎ花センター」が話題の投稿に続けたツイートを見るに、謎の物体の正体は園内で展示されている熱帯植物「ヒスイカズラ」の花らしい。フィリピン・ルソン島に自生する植物で、国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定されている。
10日、Jタウンネット記者の取材に応じた同センターの広報担当者によれば、ヒスイカズラの花を「おみやげ」として配り始めたのは10年前のこと。
園内でヒスイカズラが咲き始めたのは15年前で、当初から「落ちた花も美しく、捨てるのがもったいない」と思ってはいたものの、時間が経つと紫色に変わってしまい長く飾っておくことはできなかったため、毎朝の清掃で捨てていたという。
「しかし、水に浮かべておくと2~3日間、ヒスイのきれいな色を楽しめるので、それならばお客様に持ち帰ってもらい、ご自宅で楽しんでいただきたいと思い、配布を始めました」(広報担当者)
持ち帰ってどうすればいいのかと聞けば、「見たり、嗅いだり(においはしません)、触ったり、お客様の好きなようにお楽しみいただければと思います。水を張ったガラス容器に浮かべてライトを当てると綺麗です」とのこと。なお、水に浸してしまうと色が薄くなってしまうそうなので、注意してほしい。
「スタッフ全員ヒスイカズラが大好き」
ところで、ヒスイカズラの花を「おみやげ」にすることを思いついた「とちぎ花センター」のスタッフは全員、ヒスイカズラが大好きだという。2023年は3月18日~5月7日の期間に「ヒスイカズラフェス」を開催しており、ヒスイカズラをイメージしたソーダフロートや、オリジナルグッズを制作するなど、ゴリゴリにヒスイカズラを推している。
そんな彼らなので、ツイッター上で2万件を超える「いいね」(10日昼時点)を集めるなど、ヒスイカズラが注目の的になっていることに、喜びを感じているようだ。
「正直とてもびっくりしています。とちぎ花センターのスタッフ全員ヒスイカズラが大好きなので、知らない方にも多く知ってもらえてとてもうれしいです。
全国にある植物園にも開花時期の違いはありますが、ヒスイカズラが咲いています。お近くの植物園にもぜひ足を運んでいただいて植物園のファンになっていただきたいと思います。
当センターでは他にも珍しい植物がたくさんあるので、日本に住む1億2000万人全員が植物好きになってもらえるようこれからも旬な情報を発信していこうと思っています」(広報担当者)
とちぎ花センターでの「ヒスイカズラ」のピークは4月中旬だが、5月のゴールデンウィークまでは確実に咲いているとのこと(開花状況についてはHPや電話で要確認)。
花が咲いている間は、センター内にある鑑賞大温室「とちはなちゃんドーム」(入館料大人410円、子供200円)に入館した利用者を対象に、「ヒスイカズラのおみやげ」の配布も行われる。
多い日には何百個もの花が置かれる場合もあり、「開園して1時間経ちましたが、まだ一つも減ってません」とつぶやいていた6日も全部で200個ほどの花が「おみやげ」として並んだ。投稿以降、「だいぶお持ち帰りいただけました」とのことだが、それでも50個程度は残ったそうだ。