「『一個も売れへんねん』と言ってくるから買ってしまった」 昔懐かしい洋菓子店でのエピソードに反響「流石大阪って感じ」
「お爺さんが『買ってぇ!一個も売れへんねん!』と言ってくるからケーキ買ってしまたwww」
2023年3月21日に、そんな呟きと共にツイッターに投稿された写真が話題となっている。
どことなく昭和の香りが漂うレトロな洋菓子店の店頭に一人の男性が座っている。
明るいグレーのスーツを着こなす姿がオシャレでカッコいい。中に着ている赤いインナーも絶妙なアクセントとなっていて、粋である。
投稿者の「川北すピ子」(@su_pico)さんは、この男性に声をかけられたようだ。
ツイートには、17万件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散中だ(3月24日現在)。
なんだか懐かしく素敵な雰囲気だが、ここはいったいどこのお店だろう? この男性はここの店主なのだろうか?
気になったJタウンネット記者はまず、投稿者「川北すピ子」さんを取材した。
「店の中のお爺さんとバチッと目が合い...」
投稿者「川北すピ子」さんによると、写真の撮影日は3月21日、撮影場所は大阪市淀川区の阪急電鉄「十三駅」付近にある「ホルン洋菓子」だという。
「十三駅で初めて降りて、古い建物が好きでぶらぶら歩いていたところ、店の中のベンチに座っているお爺さんとバチッと目が合い、おじいさんに『買うてぇ』と言われたので入店しました」(「川北すピ子」さん)
そうして促されるままに思わず洋菓子を買ってしまったという「川北すピ子」さん。
実際に食べてみての感想を、こう語る。
「シュークリームはクリームたっぷりで程よい甘さで美味しく、ホワイトチョコケーキは薄くスライスしたホワイトチョコがふんだんにショートケーキのようなものに乗っていて凄く美味しかったです」(「川北すピ子」さん)
偶然の出会いではあったが、大満足の結果だったようだ。
次にJタウンネット記者は、大阪の「ホルン洋菓子」にも電話で話を聞いてみた。
「売れてるのに売れてへんねん言うとこ、大阪や」
Jタウンネット記者の電話取材に応じたのは、「ホルン洋菓子」店主の山本裕(ゆたか)さんだった。
今回、話題となった写真の男性はこの店の創業者である山本さんの父だという。
50年以上前に創業し、山本さんの母と夫婦二人で営業してきたのだそう。
店に訪れる7割以上が、昔から馴染みの地元客。誕生日やクリスマス、家族のためにと買っていく人が多いという。
「販売しているのは、父が考案して創り上げた、シュークリームや、ショートケーキなど、昔懐かしい昭和の洋菓子です。その味を守り続けるのが、私の仕事だと思っています」(山本裕さん)
ところでどうしてお父さんは、店先に座っていたのだろう。
その理由を尋ねると、山本さんはこう教えてくれた。
「父親が店先に座るのは、常連のお客様とのコミュニケーションと、健康のための日課のようなものです」
なお山本さんによると、お父さんの「一個も売れへんねん!」は、正確には「一向に売れない」だそう。それに対しお客さんが「なんや、全部売りきれてるやないか」と返して、大笑いになることもしばしばだそうだ。
そんな日常のやり取りからも、お店やお父さんが、地元で長く愛されているのがとても伝わってくる。
今回、話題となった投稿に対しても、ツイッターにいる「ホルン洋菓子」ファンの人々からたくさんのコメントが寄せられていた。
「地元で子供の頃から食べてます。今は息子さんが継がれてお父さんは看板親父」
「ここの黄味ロールは懐かしいバタークリームで美味しいですよ」
「ここのスポンジは昔ながらの製法だから、昭和生まれの人は懐かしい昔のケーキを味わえる貴重なお店」
「昔、ここのマーブルケーキ、よく持ち帰りしてました。贈答品にも最適で好評でした!」
「小さい頃によくここで誕生日ケーキをよく買いました!今は離れて住んでいるため買いに行くことはできませんが、ここはジャクロとコルネ、キミロールがめっちゃ美味しいです!」
「売れてるのに売れてへんねん言うとこが流石大阪って感じこういう昔な感覚好きやわ」
昔懐かしい昭和の洋菓子と、明るくて楽しいオシャレなお父さん。気になったという人は十三へと足を運んでみては。