こんなにあったら無限につぶせる... 群馬に「大量のプチプチ」を買える自動販売機があった
自動販売機で飲み物以外の商品を買う――ここ数年でそんな機会がグッと増えている。
ラーメンや餃子はもはや珍しいとも言えないかもしれない。キムチやスイーツ、魚卵にモツ、レースのハンカチ、手書きのラブレター......Jタウンネットでも、様々な自販機を取り上げてきた。
そんな我々編集部でさえ「何それ」と目が点になってしまう自販機が、群馬県高崎市にある。
売られているのは「プチプチ」。割れ物を包んだり、暇を持て余したときに気泡をつぶしたりするアレである。
一見、カラフルなロッカーのような「プチプチ自動販売機」があるのは、「プチプチ」の商標権者である川上産業の高崎工場(群馬県)の一角。
自販機でプチプチを買うとは、どういうことなのか。早速買ってみよう。
いや、デカいんだが?
プチプチ自動販売機でプチプチを買うには、少々手間がかかる。まず、左側に設置されている筐体に100円玉を5枚(500円玉は使えないので要注意)を投入し、ハンドルをガチャっと回してカプセルをゲットする。
その中に入っているのは、ボックスの番号とそこにつけられている鍵を解錠するための暗証番号が書かれた紙だ。今回、Jタウンネット記者は2番のボックスの紙を引いた。
暗証番号を使って、赤いボックスの鍵を解除すると......。
思わず「デカい」と口に出してしまった。中に入ってたのは、「d36コアレス」と名の付いたプチプチ。幅60センチ、長さ42メートルもあるビッグサイズの商品だ。なお、1~4までのボックスに入っているプチプチはすべて同じものである。
さて、これでプチプチの購入は完了――なのだが、ボックスの中に入ってるのは、プチプチだけじゃない。箱の右側に何やら、謎の紙も入れられていた。
「謎の紙」に書かれていた謎
紙は2枚。1枚はプチプチの購入証明書だ。
そして、もう1枚には......。
「プチプチ自動販売機 謎解きクイズ2」
なぜか、クイズが書かれていた。
プチプチを自販機で売るだけでも変わっているのに、そこに謎解きまで付けて......もう訳が分からない。
なぜこんなことになったのか? Jタウンネット記者は川上産業を取材し、マーケティング課の担当者にプチプチ自動販売機設置の経緯を聞いてみた。
プチプチ自販機は「想定より売れている」
担当者によると、プチプチ自動販売機が生まれたのは2014年。川上産業の名古屋本社の前に設置したのが最初だった。
今回訪れた高崎工場では16年から「プチプチ直売所」という名前で稼働を開始したという。同社は全国に8か所の工場を設けているが、その中で高崎工場が唯一プチプチを製造していなかったことが理由だった。
「川上産業の登録商標である『プチプチ』という名前や商品は、多くの人々に知ってもらえていると思います。ですから、高崎工場に来たのにプチプチがないとなれば来てくれた人がガッカリしてしまうかもしれないと思い、設置しました」(マーケティング課の担当者)
そして2021年2月、現在の自販機にリニューアル。モノトーンだった「プチプチ直売所」の外観をカラフルにし、「プチプチ自動販売機」に名前を変更。謎解きクイズも付け始めた。
「リニューアルにあたり、『遊び心を忘れない!』というコンセプトのもと、ゲーム性を出したいと考えていました。そこでおもちゃクリエーターの高橋晋平さん(編注=いつでも、どこでも、いつまでもプチプチをつぶせる「∞プチプチ(※川上産業の登録商標)」の初代開発者)に相談し、オンライン会議を重ねて謎解きクイズをつけようと決まりました」(マーケティング課の担当者)
謎解きは全部で10種類あるらしい。自販機でプチプチを購入するとランダムで1枚ゲットでき、そのクイズを解くとヒントが1つ得られる。それを10個集めてクイズの裏側の空欄に埋めると出現するのは、10文字の「暗号」。
解き明かした後はその答えを川上産業に送れば、なにか「宝物」が貰えるというシステムだ。
とはいえ、プチプチ(しかも特大)のおまけだし、そこからランダムに出てくるクイズを10個集めて解き切るような強者は中々出てこないだろう――リニューアル当初はそう考えていたという。しかし、「1年足らずで暗号をそろえた人がいたんです」。
プチプチ自販機がある高崎工場は最寄りのJR群馬八幡駅から徒歩40分ほどかかり、車でも高崎駅周辺から20分強かかるなど、交通の便が決して良いとは言えない。それでも自販機は物珍しさもあってか人気のようで、プチプチは想定以上に売れているという。
もしプチプチを買おうとしている人がいたら、遠出してでもプチプチ自販機で買う貴重な体験をしてみるのはいかがだろうか。ただ、自販機で買えるプチプチは大きくて簡単に持って帰れないので、自動車で行くことを勧めたい。