取材なのに、泣いちゃった... トーハク「150年後の国宝展」に集う宝物がエモすぎるから見てほしい
「昔の日本人は魚のミイラづくりが得意だった」と思われないために...
そして、一般部門の宝物たちは、もっともっと身近なものばかり。中には極めて個人的すぎるものもあったが、それがよかった。
たとえば、子供の頃に遊んでいた「ファミリーコンピューター」や自身で作った「ウルトラシリーズ怪獣スクラップブック」、祖母が愛用していたという「ジャノメ製足踏みミシン」、自宅前の「電線と電柱のある風景」。「日本各地で集めた煮干しのコレクション」全27種類なんてものもあった。
これには、応募者が全国で集めた「珍しい煮干し」や「正体不明の煮干し」も含まれている。
応募者の「煮干し愛」の深さに驚くと同時に「煮干しってこんなに種類があるのか......!」と衝撃を受けた。
いま、スーパーに行けば簡単にだしの素が安く手に入るし、煮干しから出汁をとる人は、かつてほどは多くないだろう。そうすると、「マイナー煮干し」を作る人もどんどん少なくなってしまうのかもしれない。そして150年後、もし「だしをとる」という行為がレアになっていたら......未来の人たちは煮干しコレクションを見て「かつての日本ではいろんな魚をミイラにする技術がやたら発達していたんだなあ、何の意味があるんだろう」などと不思議に思い、その理由を熱心に研究し始めてしまうのではないか。
そんな努力をさせないためにも、「煮干し」という存在を残し、だし文化・和食文化を残していかなければ......! 記者はそんな使命感に駆られてしまった。