「深夜の公園で休む私の背後に、突如現れた老婆。ビックリして振り向くと、その手には...」(北海道・50代男性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Tさん(北海道・50代男性)
25年ほど前、Tさんは深夜の工事現場でアルバイトをしていた。
その日の休憩時間、彼は近くにある小さな公園へ。ベンチに座って休んでいると、背後から声をかけられて......。
<Tさんの体験談>
今から25年ほど前、私は東京でフリーランスの仕事をしていました。夢をかなえるため、一度就職した会社を辞めて選んだ道でしたが、それだけで食べていくことはできず、深夜の交通誘導のバイトでなんとか食いつなぐ日々でした。
自分の仕事では生活できない。だからと言ってバイトばかりしていたら、やりたかった仕事はできない。そんなジレンマに悩んでいたある冬の日の出来事です。
深夜の公園のベンチで、後ろから...
深夜の道路工事の車輌誘導を、寒さに震えながらなんとかこなし、休憩時間が来ました。お腹が空いていましたが、コンビニに行きたくても明日の電車賃を考えると......。
食事を我慢することにした私は道路の裏にあった小さな公園へ。ベンチに座り、ヘルメットを脱いで、悲しい気分になっていました。
その時、背後から急に声をかけられたのです。
「お寒い中ご苦労様です」
ビックリして振り向くと、そこには背中を丸めた小柄で優しそうなおばあさんが立っていました。
ニコニコしたお顔で、手に持ったお盆には温かいお茶と、ラップがかかったおにぎりとお新香が乗った皿が。彼女はそれを、私に差しだしてくれました。
私のために、作ってくれた?
お茶が入っていたのは、かつて電車などで売られていたようなプラスチックの容器でした。そして、おにぎりとお新香は紙皿に。返さなくてもいいように気遣ってくださったのです。
日付が変わった深夜の時間だったのに、起きていらして、私のために準備してくださっていたのかと考えたら、ビックリしすぎて、ちゃんとお礼を言えていなかったのではないかと思います。
とにかく、空腹だった私は温かいお茶とおにぎりにむさぼりつきました。あの頃が一番辛くしんどい時期で、なんだか泣きそうになったのを覚えています。
あの時元気を頂いたおかげで、今はなんとか、夢の仕事で食べられるまでになりました。
汚い格好をした怪しい若造だった見ず知らずの私に、おばあちゃんがくださった優しさは、一生忘れることのできない、温かい思い出です。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)