「蒸したてのおまんじゅうだ!」湯気をあげるセイロの中を覗いてみると... まさかの「正体」に衝撃走る「これは業務上加湿」「上手い演出!」
神社仏閣の参道や温泉街などを歩いていると、店先でおまんじゅうが蒸されている光景をよく見かける。ホカホカした蒸気に釣られてついつい吸い寄せられたことがある人も多いだろう。
そんな人間の心理をうまいこと突いた「演出」が、ツイッター上で注目を集めている。
こちらは、東京都在住の会社員・ずんこP(@ohtsuki_zunko)さんによる2022年11月6日の投稿。動画には「厄除 酒まんぢう」と書かれた台の上に3段重ねのセイロが置かれ、モクモクと蒸気がのぼっている。中にはホカホカに蒸されたおまんじゅうが並んでいる......のかと思いきや。
なんと、蒸気の出所は加湿器だった! これは一杯食わされた......。
なんで加湿器を?
Jタウンネット記者は8日、まずは投稿者のずんこPさんに話を聞いた。話題のセイロを発見したのは5日の15時頃。川崎大師(神奈川県川崎市)付近にある饅頭専門店 「みかど」の前に置かれていたという。
「歩いていると、店頭に置いてあるセイロからゴキゲンに蒸気を吹き出す様子がすごく目立っていて、『温泉地や大きなお寺の街にあるやつだ~!』と思わず近寄りました」(ずんこPさん)
そして、「中でぎっちり酒まんじゅうが蒸されているのかな」とワクワクした気持ちで覗いてみたところ......中には加湿器が。
「我々の自宅やオフィスでよく見る加湿器が屋外でフル稼働して虚空に蒸気を吹き出し、客引きに貢献している様子がなんだか面白いと感じ、正直笑ってしまいました。と同時に、恐らくフードロスや、飛沫による感染症リスクなどを考慮した上での工夫なんだろうなと感心しました」(ずんこP)
では、実のところなぜ加湿器を置いているのだろうか。
Jタウンネット記者は8日、「みかど」店主の富士原聖(きよし)さんにも話を聞いた。
長時間蒸すとまんじゅうがダメになる
富士原さんによると、「みかど」が創業したのはおよそ75年前。セイロの中に加湿器を置くという演出はなんと、50年ほど前から行っていたという。
「よく、店先でまんじゅうを蒸したりしている店があると思います。うちもお正月なんかは実際にセイロの横に保温容器を置いてその中にまんじゅうを入れたりしてます。でも、まんじゅうというのはずっと蒸しっぱなしだとべちゃべちゃになってダメになってしまうんです」(富士原さん)
そんなわけで、次々にお客さんがやってくる繁忙期でもない限り、店先でずっとまんじゅうを蒸しておくのは難しい。でも、ちゃんとお店でまんじゅうを作っていることはアピールしたい。
そこで考えたのが、セイロの中に加湿器を入れて、店頭でまんじゅうを蒸しているように見せる演出だったのだ。
フードロスの回避と広告としての役割を両立させるための工夫に、ツイッター上ではこんな声が寄せられている。
「いやコレは上手い演出!」
「えぇー! と思ったけど、看板と思えば問題ないですよね~」
「これは業務上加湿」
ちなみに、台に書かれている「酒まんぢう」(1個税込み150円)は、秋田県の白神山地で採れた天然酵母を使用した、甘酒のような香りが特徴の同店の人気商品だとか。川崎大師をお参りの際はお試しあれ。