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よくやっちゃうあの「乗り方」、実はとっても危険です 意外と知らない「脚立の正しい使い方」

松葉 純一

松葉 純一

2022.10.26 21:23
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「1メートルは一命取る」

――という標語が、安全衛生の世界にあるらしい。ダジャレのように見えるが、冗談ではすまされない。ちょっとでも高い場所で作業する時、そこには思いがけない危険が潜んでいるのだ。

2022年9月下旬、とあるツイッターユーザーの投稿がきっかけで、「脚立の事故が多い」という話題がSNSを賑わせた。ツイッターには多くの経験者からの生々しい報告が相次いだ。例えば......

「ちょうど1年前の今月やらかしました。 脚立に座り作業中倒れて、右足首骨折、入院手術。リハビリに半年、まだ完全には治ってません...。入院中、医者から下手して頭から落ちてたら死んでたと言われ恐ろしかったです」
「2年前にやらかしました。3メートルの高さの脚立の上にのって 作業中、脚立が倒れ左足首を 捻挫、2か月の重症。右足首に比べ、怪我をした方の 足首は曲がりにくくなりました」
「私も、救急車で運ばれ、CTを撮りました。一番上に乗って、地獄を見ました」
「私も脚立でひっくり返り 全治9か月でした」

他にも、痛々しい体験例が続々と寄せられている。Jタウンネット記者も、事故こそなかったが、脚立使用中にヒヤリとした経験はたびたびある。

大掃除、引っ越し、果物の摘み取り、庭木の剪定作業などに、脚立は本当に便利だ。ついつい気軽に使いがちだが、事故の危険がついて回る。安全に使用するためにはどうすればいいのだろう。

ツイッターの反応の中に、「長谷川工業さんのサイトに安全な使い方についてのページがあります!超オススメです」というリプライがあった。覗いてみると、写真付きで、実にスッキリ、分かりやすくまとめられている。そこで、Jタウンネット記者は長谷川工業に取材することにした。

長谷川工業「脚立の安全な使い方」ページよりスクリーンショット
長谷川工業「脚立の安全な使い方」ページよりスクリーンショット

「倒れやすい方法」がある

「はしご使用時の立て掛け角度は75度。必ず大人の補助者が支えてください」(画像提供:長谷川工業)
「はしご使用時の立て掛け角度は75度。必ず大人の補助者が支えてください」(画像提供:長谷川工業)

長谷川工業(本社:大阪市西区)は、1956年創業のはしご・脚立・高所作業台など足場関連製品の専門メーカーだ。12012年には経済産業省主催の第6回・製品安全対策優良企業表彰にて優良賞を受賞している。

Jタウンネット記者の取材に応じたのは、同社マーケティング本部の担当者だった。

「脚立の安全な使い方」のページが作成されたのは、2015年のウェブサイトリニューアル時。同社では脚立の事故の報告を日々確認しており、メーカーとして安全な使用法をもっとわかりやすく提供したかったという。

使用者にもっとも注意してもらいたい点を尋ねると、「方向」だと答えた。

「脚立には転倒しにくい方向としやすい方向があります。
脚立の昇降面左右は転倒しやすい方向になるので、例えば壁面で作業される際、脚立をまたいだ状態で使われる時は倒れやすい方向に力が掛かってしまいます。
設置場所や対象物の関係でそう言った向きで使われる際は、アウトリガーをつけるなどの転倒対策をお願いいたします」(長谷川工業マーケティング本部担当者)

「脚立の安全な使い方」のページでもどんな使い方をしてはいけないのか、なぜそれがいけないのかが、わかりやすく説明されている。その内のいくつかをご紹介しよう。

天板に立たない・跨がない・座らない

脚立にまたがらない(長谷川工業「脚立の安全な使い方」ページより)
脚立にまたがらない(長谷川工業「脚立の安全な使い方」ページより)

たとえば、先ほど教えてもらった「またいだ状態」。実は、Jタウンネット記者はしばしばまたがってしまっていたので、いささか驚いた。バランスをくずして、転倒や転落の危険があるそうだ。

天板に乗らない(長谷川工業「脚立の安全な使い方」ページより)
天板に乗らない(長谷川工業「脚立の安全な使い方」ページより)

天板にも乗ってはいけない。記者はよくやりがちだったのだが、これもバランスをくずして、転倒や転落の危険があるという。

天板の上に乗ってはいけないのは、立っている時だけではない。

脚立に座らない(長谷川工業「脚立の安全な使い方」ページより)
脚立に座らない(長谷川工業「脚立の安全な使い方」ページより)

座ってもいけないそうだ。ガーン! 記者は知らなかった。座ってました、何度も......! よく今まで無事だったな? 無知とは本当に恐ろしい。

いやもう、脚立の安全な使い方をまったく知らなかった自分が恥ずかしい。というか、事故がなかったことが不思議に思えてくる。

「常識だと思っていた使い方が、実は間違っていた」

脚立から身を乗り出さない(長谷川工業「脚立の安全な使い方」ページより)
脚立から身を乗り出さない(長谷川工業「脚立の安全な使い方」ページより)

他にも、「脚立から身を乗り出さない」「上向き作業をしない」などなど、身体を乗り出すとバランスをくずして、転倒や転落の恐れがあるケースが、多々あるという。

では、脚立を使えばいいのか。正しい使用法は、以下の通りだ。

「脚立の上で作業する時は、天板を含め上から3段目(210センチタイプ以下は2段目)以下の踏ざんに乗り、天板や踏ざんに身体を当て、安定させた状態で作業してください」
「開き止め金具を確実にロックしてください」
脚立の上で作業する時は、天板を含め上から3段目に乗る(画像提供:長谷川工業)
脚立の上で作業する時は、天板を含め上から3段目に乗る(画像提供:長谷川工業)

何がダメで、どうすればいいのか。非常にわかりやすい「脚立の安全な使い方」の説明ページは、同社ウェブサイトの中でも常にトップ5に入ってくるほどよく見られているという。

「今まで常識だと思っていた使い方が間違っていたと分かった」「改めて現場の作業への安全啓蒙講習などに役に立つ」といった声も多く届いているそうだ。

「(ページを見て)『危険な使い方だと知らなかった!』と言っていただくことがとても多く、弊社のHPを引用いただけることはとても嬉しいです。
実際テレビなどに於いても、危険な使い方を危険だと思わずされていることは大変多く、そのイメージでお使いいただいている方も多いです。
なぜ危険なのかを少しでも多くの方に知っていただき、使われる方が安心安全に作業いただけるよう、ハセガワ製品は安全・安心とうたうメーカーとして、これからも情報発信に取り組んでいきたいと思っています」(長谷川工業マーケティング部担当者)

読者の皆さん、怪我をしてからでは遅い。脚立を利用するときは「脚立の安全な使い方」をチェックしてから、正しい方法で作業しよう。記者もこれからは、気を付けます。

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