「上手く首吊りできない妊婦に、通りすがりの男が手本を披露。すると赤ちゃんが生まれて...」 神社に伝わる「松の逸話」が謎すぎる件
石川からやってきた「子産せの松」
ちなみに妙法寺は、日盛上人によって1467年に建立された法華宗の寺院だ。当時は酒田より北の飽海郡の海岸に近い場所にあったが、1689年に現在地に場所を移したという。
酒田は北前船寄港地として繁栄を極めた、日本海沿岸きっての交易の拠点だ。豪商たちの尽力で全国から松などを運び、海岸に植樹して砂防林としたらしい。「子産せの松」も能登の国(石川県)から取り寄せられたものだと言われている。
ところでツイッターの反応の中には、上方落語の演目「ふたなり」に似ているという指摘もあった。もっとも、こちらは松の精霊ではなく「首吊りの方法を教えようとしたら自分が死んでしまったうっかり者と、それを見て死ぬ気をなくした妊婦」の話であるが......。
しかし、北前船交易の中で、この逸話も姿を変えつつ伝搬してきたのかも......、とJタウンネット記者が言うと、妙法寺住職からは一笑に付されてしまった。
「松のおかげで、生命が助かった、という庶民の中から生まれた、素朴な逸話、ということでよろしいのではないでしょうか」(妙法寺住職)
切羽詰まったときに助けてくれる「いのちの電話」的存在、それが「子産せの松」。たしかにそれはそれで良いのかもしれない。