ちいかわ「紅しょうが入りいなり寿司」は青森ネタ? 山姥の手が赤く染まった理由は、もしかして...
ツイッター上で連載されている人気漫画「ちいかわ」。2022年9月20日公開分を読んでいたJタウンネット記者には、気になる部分があった。
罠にかかっていたところを山姥に助けられ、家で怪我の手当てをしてもらうちいかわたち。それだけでなく、食事までふるまってもらう。
山姥が差し出したのは、いなり寿司だ。見た目は何の変哲もないが、これを食べたハチワレがこんな感想を口にする。
「紅生姜入ってて おいしいッ!!」
あれ、いなり寿司に紅しょうがなんて入ってたっけ? 山姥なりのアレンジなのだろうか?
そう思ったのだが、ツイッター上ではこんな反応が。
「えっ!青森のおいなりさんは紅生姜入ってるんです なんで知ってるのォ~? もしかして青森の山姥...」
「紅生姜入りいなり寿司......青森出身だこの山姥......」
「紅生姜入のおいなりさん、青森の郷土料理だー! 好きでよくスーパーの買って食べてるから、なんか嬉しい」
津軽地方では当たり前
青森のいなり寿司は紅しょうが入りというのは、本当だろうか。Jタウンネット記者は22日、青森県農林水産部農林水産政策課で郷土料理に関する事業に携わっている職員に話を聞いた。
「県内の津軽地方で紅しょうが入りのいなり寿司が食べられています。紅しょうががいなり寿司に入っているのは当たり前で、スーパーでも売られています」
いつから広まったのか、なぜ紅しょうがが入っているのかはわかっていないが、いつの間にか津軽地方では紅しょうが入りのいなり寿司が当たり前になっていたそう。
そんな紅しょうが入りのいなり寿司は、ご飯はピンクに染まっていて、味にも大きな特徴がある。
「紅しょうが入りのいなり寿司はめちゃくちゃ甘いです。紅しょうがの酸味もあることはあるのですが......とにかく甘いです」(農林水産政策課の職員)
あくまで一例だが、職員の所有しているレシピでは、もち米2合に対し、砂糖を60グラム入れた合わせ酢を使用する。油揚げを煮るときもザラメを50グラム投入するのだとか。そりゃ紅しょうがの味なんて霞んじゃうよね。
なぜそんなにも砂糖を入れ、甘くする必要があるのか。その理由を農林水産政策課の職員はこう推測する。
「津軽地方では赤飯も甘くして作ります。砂糖はかつて貴重なものでしたから、甘いものがご馳走という考えがあるのではないでしょうか。
赤飯もいなり寿司も人が集まるなど特別な時に出す食事のイメージがあります。ここぞのタイミングで食べるご馳走だから甘くしているのかもしれません」
山姥の手が赤い理由も......
ところで、9月20日に更新された「ちいかわ」では、ある描写に注目する人も少なくなかった。
それは「おいなり お食べ」と言って山姥がいなり寿司を出すシーン。ここでいきなり山姥の手の色がピンク色に変わっているのだ。
ちいかわの読者たちはこの表現に「指の色変わっちゃっててもう怖い」「おばあさん、おばあさん、どうして急におててがピンク色になるの?」「手の色よ」と慄いている。
でも、もしかして、手の色が変わったのは紅しょうが入りのいなり寿司を作ったからでは? そう仮説を立てた記者が22日、紅しょうが入りのいなり寿司を製造・販売している鰺ヶ沢町・海の駅わんどの従業員に話を聞くと......
「紅しょうがを刻み、手で絞ってからご飯と混ぜるので、手が赤やピンク色になります」
とのこと。手についた紅しょうがの色は中々落ちない上、臭いまでついてしまうので、海の駅わんどではビニール手袋をつけて対策しているのだとか。
――となると、記者の仮説が正しい可能性もありそうだ。
ちいかわ9月20日更新分は、細かすぎる津軽地方ネタだったのだろうか? 今後も地元民じゃないとわかりづらいシーンが出てくるのかもしれない......。