お店の中に「海」が入ってきてる! 伊根湾のほとりにある喫茶室が、とんでもなくステキ
京都というと「古都」というイメージが強いが、「和風ヴェネツィア」と呼ばれる、知る人ぞ知る絶景の地があることをご存じだろうか。伊根町(いねちょう)である。
京都府の北部、日本海に面した丹後半島の北東部に位置する、珠玉のような町。伊根湾の周りに立ち並ぶ「舟屋」の町並みは、重要伝統的建造物群保存地区として選定されている。
その伊根町に、あまりに海に近いため、お店の中に波が入ってくることもあるという、「台湾茶葉専門店」がある。
その名を「靑竈 chinzao」という。
店内に入った海水が引いた後、テーブルの配置を変えて、再び開店するのだという、ちょっと変わった店だ。
Jタウンネット記者は、同店店主に話を聞いた。
喫茶室の椅子は、多くて5~6席、通常は2~3席
「台湾茶葉専門店 靑竈 chinzao」の店主・橋本吾道さんは、十数年前に京都市内で台湾茶と茶器の販売・卸売りを始めた。そして、10年以上前に伊根町に移ってきたという。
伊根町に越して来た理由を聞いたところ、「静かで、ゆっくり過ごせるから」と答えた。台湾茶の輸入販売という仕事に、あまり影響ないという判断だったという。今までのビジネス上のノウハウや人脈などは、引き続き活かせているということなのだろう。
伊根町では、舟屋をそのままお店に。そして「海が入ってくる喫茶室」が生まれた。
「多くて5~6席、通常は2~3席しか置けない、小さなスペースなのですよ。天候次第で海水が入ってくるので、クローズすることもしばしばです」
潮が満ちると浸水してしまう店内。つまり、いい感じの潮位であれば、間近に海を感じながら一息つける場所というわけだ。
烏龍茶を飲んでカルチャーショック!
「時間にゆとりがあれば、伊根湾の海を眺めながら、お茶を楽しんでいただけると嬉しいです。うちで烏龍茶を飲んで、カルチャーショックを受けたとおっしゃるお客様もいらっしゃいます」(店主・橋本吾道さん)
「靑竈 chinzao」のウェブサイトには、扱っている台湾茶についてこう記されている。
「お茶には緑茶、黄茶、白茶、黒茶、青茶、紅茶の六種類がありますが、靑竈では台湾産の青茶と紅茶を主に取り扱っております。青茶とは発酵茶のことで、発酵度合は15%~70%程と多種多様で、最終的な火入れ乾燥により清香と濃香に分かれます。
靑竈では複数の茶農の方から直接仕入れており、厳選された茶葉のみを取り扱っております」(「靑竈 chinzao」ウェブサイトより)
我々にもなじみ深い烏龍茶も、青茶の一種だ。台湾茶初心者には烏龍茶や金萱茶などが、おすすめ。お茶うけには、ドライトマトやドライキンカンが合うという。
伊根湾の青や緑に移り変わる海を見ながら、烏龍茶の香りと味をゆっくり楽しむ、なんと贅沢な時間だろう。多少なら波が入ってきても、かえって心地よいかもしれない。
喫茶室がオープンしているかは、ツイッターアカウント@chinzao1でご確認を。