「初対面のおじさんの車に乗って、涙を流す高3の私。交通費を使い果たしたばっかりに...」(山口県・50代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Hさん(山口県・50代女性)
35年ほど前、高校生だったHさんはその日、車の免許取得の学科試験を受け合格した。
しかし免許証を受け取るための手数料を用意しておらず、帰りの交通費を使わざるを得なくて......。
<Hさんの体験談>
35年くらい前、就職の内定も決まった高校三年生の頃の思い出です。
その日わたしは車の免許を取得するため、山口県の試験場で学科試験を受けました。無事に合格したのは良かったのですが、私はうっかり免許証をもらうための経費を用意するのを忘れていたのです。
私はそこで、帰りの交通費を使ってしまいました。
警察に頼ることもできなくて...
私が帰るのは、試験会場からそこそこ離れた徳山駅。バスに乗る予定でしたが、残りの手持ちでは運賃を払えません。
交番に行けば少しお金を借りられますが、銀行に内定が決まっていた私は「お金がない」と警察に頼る訳にもいかないと思っていたので、それもできません。
でも、間にある防府駅までいけば、なんとか電車で帰れます。そこで、バス停を目印に歩いて防府駅に向かうことにしたんです。
自分には親からもらった足がある。そう思いながらバス停をたどって歩き続けました。
しかし頑張って歩いているうちにあたりも暗くなりかけて、もう何時間歩いたかも分からないくらいに。私はだんだんと不安になってきました。
その時、1人のおじさんが「どこに行くの?」と話しかけてきました。道路沿いの一軒家に住んでいる方でした。
おじさん「遠いから、車で送ってあげるよ」
私が「防府駅に」と言うと、おじさんは「遠いから、車で送ってあげるよ」と言ってくださいました。
後部座席で溢れてくる涙。泣きながら事情を話し終わっても、まだ防府駅には着きません。
この時、歩いて防府に行くのは絶対に無理だったと悟ったんです。
防府駅に着くと、おじさんは「お金大丈夫かね?」と交通費を気にかけてくれました。
私は「はい、ありがとうございます」と答え、名前すら聞かずに別れてしまいました。まだ幼い考えで、機転も効かなかったのです。
その後は足早に電車に乗り、無事に徳山駅に着きました。家に帰れたのはおじさんのおかげです。
後日お礼のご挨拶をするためにおじさんの住んでいた一軒家を探したのですが、何度探しても結局わからないまま。
あの時のことは今でも忘れません。本当にありがとうございました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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