「車内販売でお弁当を2つも買った裕福そうなオジサン。『贅沢だ』なんて思ったけど、彼はその弁当を...」(住所性別不明・50代)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Aさん
現在50代のAさんは18歳の冬、大学受験のために東京に向かった。
試験を終え、帰りは遅い時間に。お腹を空かせて当時は新幹線ではなく在来線特急だった「やまびこ」に乗っていると、通路を挟んで隣に座っていたおじさんが......
<Aさんの体験談>
今からもう35年ぐらい前になります。
18歳の冬、私は受験のために東京に行きました。その帰り、乗ったのは東北本線の特急「やまびこ」自由席。帰りが遅くなり、私はお腹をすかせていました。
宇都宮を過ぎたころ、お弁当を乗せたワゴンが通路をやってきました。当時のやまびこには車内販売があったんです。
でも私はお弁当を買えず、ワゴンが通り過ぎていくのを見ていました。
そんな時、通路をはさんで反対側に1人で座っていた50代くらいのおじさんが、販売員のお姉さんを呼び止め、お弁当を2つ購入。
服装など見るからに裕福そうで、私は「1人で2つも食べるんだ。贅沢だな」と思っていたのですが......。
突然おじさんが私のほうに...
おじさんが、弁当の一つを私の方へ渡してきたんです。
私がよっぽどワゴンを恨めしそうに見ていたのでしょう。
何の言葉もなく、ただ顎で「やるよ!」とうなずいただけで、始終黙ったまま。
私も黙って受け取り、黙々と食べているうちに自分の降車駅「郡山」に着きました。
電車を降りるとき、お礼を言おうとおじさんの方を見ると、おじさんはとっくに食べ終えて眠っていました。
だから私は結局、お礼を言えないまま電車を降りました。
あの日から35年が経った今...
今思えば、書置きの一つも残せばよかったと思います。まったく気の利かないことです。
今、私はあの時のおじさんと同じくらいの年になり、あの人と同じようにかっこよく振舞えているかいつも気にするようになりました。
おじさん。あなたにはとても大切なことを教えてもらったように思います。
あのときは、大変お世話になりました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
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