「博多旅行で入った中洲の屋台で、隣の席は見るからに怖いおじさん。ある店を紹介されたので、訪ねると...」(神奈川県・30代男性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Tさん(神奈川県・30代男性)
Tさんは20歳の時、旅行中に立ち寄った店で強面のおじさんと出会った。
おじさんから話しかけられたことをきっかけに、Tさんは地元の名物やお酒をごちそうしてもらえることに。そして別れ際おじさんはこう言った。
「明日、ここに行きなさい」
その言葉に従って翌日、指定された店に行くと思いもよらないことが......。

<Tさんの体験談>
20歳の時、留学先で仲良くなった女友達の地元・博多へ同い年の仲の良い友人らと初めて訪問しました。
友達のご家族にももてなしてもらい、博多観光を楽しみ、いよいよ明日が最終日という日の夜。
中洲の屋台に行ったところ、横に座っていた見た目の怖い60代のおじさんに話しかけられました。
「博多をもっと...」
「きみら、どこから来たんとね?」
そう聞かれたので、横浜から来たこと、明日博多を離れると伝えました。
昔はかなり危ないこともしてたらしいのですが、今は真面目に暮らしているというそのおじさんは、私たちの話を聞いて「博多をもっと好きになってほしい!」と追加でもつ鍋を注文してくださり、お酒もご馳走してくださいました。話も盛り上がり、とても楽しい時間でした。

そして別れ際、おじさんは「明日の昼時に、ここに行きなさい」とお店を紹介してくれました。
そこはお蕎麦屋さんで、僕たちはおじさんに言われた通り、翌日のお昼にそこに行くと女将さんが言いました。
「〇〇さんから聞いてます」
店の女将に案内され...
女将は席に案内してくれたあと、6人分の天ざるを出してくれました。とても美味しかったのを覚えています。
最後にお会計を払おうとすると、「お代は〇〇さんから頂いているのでいりませんよ」。しかもお土産まで用意してくれていたんです。
どうしてもおじさんにお礼を言いたくて女将さんにお願いすると、電話をかけてくれることに。
僕が感謝の気持ちを伝えると、おじさんはこう言いました。
「もう会えることはないと思うけど、博多はいい所だよと帰った土地でも伝えてやってね」

おじさんの優しさが嬉しくて、「もう会えない」という言葉に涙がボロボロと溢れてきました。
こんなに良くしてくれたのだからもっとちゃんとお礼をしたかったという少しの後悔はありますが、おじさんのおかげで今では博多が日本で一番大好きな都市です。
自分もいつかおじさんのようなおもてなしを、誰かにしてあげたいと思います。
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