広島電鉄、運転士の「保護メガネ着用」実験中 「乗客がマイナスイメージ抱く」懸念も...「かっこいい」「使うべき」
紫外線による視力低下も
そもそも広島電鉄が保護メガネの導入を検討する目的は、運転士が運転中に感じるまぶしさや目の疲労の低減だ。電車事業本部の担当者はこう説明する。
「これまで運転士には、まぶしさによる目の疲労や視認性低下の可能性がありました。過去には紫外線による視力低下に伴い、サングラスの着用を希望する運転士もいました」
そこで広島電鉄が実験に導入したのはタレックス社の「トゥルービュー」。直射日光や反射光のまぶしさの軽減で視認性の向上や疲労軽減の効果があるという。
広島電鉄が公式サイトに掲載している保護メガネ着用前と後の見え方の変化の違いを見ると、その差がわかる。着用しているほうが道の先まではっきりと見通せる。
今回の実験に参加するのは、西広島営業所の担当運転士3人。彼らからは「視界が良好になった」「西日が眩しくない」と好意的な意見が上がっているという。
実はJR西日本でも、運転操縦時における視認性向上及び疲労軽減による更なる安全性の向上を図るため19年9月から在来線運転士への保護メガネ貸与を試行。その結果が良好であったため、20年3月に同社内全エリアの在来線運転士、21年3月には新幹線運転士への貸与(いずれも希望者対象)を開始した。
他社での導入実績、そして運転士からの声を踏まえれば、すぐにでも本格導入となってもおかしくない。しかし、路面電車を走らせる広島電鉄としては無視できない要素がある。
「利用客が受ける印象」だ。