「動物病院に駆け込んだけど、死んでしまったペットのウサギ。待合室で沈む私に、猫を連れたお姉さんが『これから動物を飼うと...』」(千葉県・40代女性)
シリーズ読者投稿~忘れられない「あの人」と~ 投稿者Mさん(千葉県・40代女性)
Mさんがまだ小学生だったある日のこと。飼っていたウサギが弱ってしまい、彼女は急いで動物病院に駆け込んだ。
しかし、獣医の先生はバスケットに入れられたウサギを見て、「ごめんね」と謝ったという。
<Mさんの体験談>
小学六年生の冬、飼っていたパンダウサギがまだ1歳ぐらいなのに弱ってしまい、獣医に連れていきました。
血統書付きの犬や猫ならともかく、近所でもらったウサギを獣医に連れて行くなんて当時は贅沢でした。それでも「死なせてはいけない」と思い、家から自転車で十数分の場所にある、医大病院に近い獣医さんへ。
病院に駆け込んだ私は、息を切らせながら先生にウサギを入れたバスケットを渡しました。
「泣かなあかん日は来るからしゃあないねんで」
私のウサギを見た先生は「ごめんね」と、自分は何も悪くないのに私に謝りました。
「ウサちゃん、もう息を引き取っちゃった。頑張って来たんだね、ごめんね」
そして、「看護師さんと一緒に、ウサギをきれいな箱に入れてあげるから待ってて」と、待合室に私を座らせて診察室に入って行きました。
その時、待合室にいた猫を連れてきていたお姉さんが、もらい泣きをしながら私に近づいてきたんです。
お姉さんは私の肩を抱いて
「可哀想やなあ、これから動物を飼うと必ずな、泣かなあかん日は来るからしゃあないねんで、でも悲しいな」
と、ウサギが箱に入って出てくるまで、ずっと私に話しかけてくれました。
「家の近くまで一緒に帰ろう」
その後、私は看護師さんにお礼を言って、慰めてくれたお姉さんにもありがとうと言って帰ろうとしました。
すると、お姉さんは
「タクシーで家の近くまで一緒に帰ろう」
と言って送ってくれました。道中の車内では、お姉さんが子供の頃に飼っていたという犬の話を聞かせてくれました。
その時に住所や名前を聞くのを忘れ、その後、家族が獣医さんにお礼をしに行ったのですがお姉さんのことは聞かないまま......。
その後、引っ越したりしてあっという間に四十年近くが過ぎて、獣医さんもどこに移転したか分かりません。あの時のお姉さんは、もう探しようがありません。
お姉さんはまだ70代くらいで、きっとお元気なはずです。人に優しくされた事を思い出すとき、まずあの時のお姉さんを思い出します。
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