「飲み物を買おうとして小銭を落とした私。自販機の下で這いつくばっていると、後ろから中年男性が...」(神奈川県・50代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Hさん(神奈川県・50代女性)
その日、パーキングエリアの自動販売機で飲み物を買おうとしたHさんは、100円玉を落としてしまった。
しゃがんで自販機の下に手を入れるも、見つからない。這いつくばって、もっと手を伸ばしていると、後ろから男性の声が聞こえてきて......。

<Hさんの体験談>
20代の頃、高速道路のとあるパーキングエリアに寄り、飲み物を買おうとした時のことです。
あやまって100円玉を落としてしまいました。
自販機の下に入ってしまい、しゃがんで手を差し入れましたが、奥の方にいったのか見つかりません。
遅い時間だったので売店も閉まっていて、あまり人もいなかったので、這いつくばってもっと手を奥まで伸ばしていたら、「お!? おネエちゃん、何してんだ?」と男性の声が聞こえました。
驚いて慌てて立ち上がって見ると、いかにもトラックの運ちゃんといった風体の40代半ばくらいの男性が立っていました。
手のひらに置いてくれたのは...
這いつくばっているところを見られて恥ずかしいやら何やらで
「す、すみません......」
とその場を去ろうとしたら、男性は「もしかして小銭落としたんか?」と話しかけてきました。
「あ、はい......。でも見つからないから諦めます......」
そう返すと、「どれ、どこだぁ?」と男性も這いつくばって自販機の下に手を差し入れました。

「あの!すみません!いいです!服汚れちゃいますよ!」
私が慌てていると、男性は
「お、あったぞ!」
と言って立ち上がり「ほい、落とした小銭!」と私の手のひらに硬貨を置いたのです。
私が落とした100円玉じゃなくて...
その硬貨は500円玉でした。
「え?あの、私が落としたのは100え...」
と言いかけたら
「ええのええの!小銭落として可哀相だと思った神様がとっ替えてくれたんよ!貰っとけ貰っとけ!」
とニコニコしながらそう言って、そのまま男性は立ち去りました。多分、彼は自分が握っていた500円玉を渡してくださったのだと思います。
しばらくポカンとしていましたが、まだありがとうを言えていなかったのでせめてものお礼にとコーヒーを買って男性の後を追いましたが、すでに自分のトラックに乗り込んでいて、直ぐに出発してしまいました。

窓越しに私の姿に気付くと、またニコニコと手を振って去って行ったトラックの運転手さん。
本当にありがとうございました。あの素敵な笑顔は今も忘れていません。
帰宅後に家族にこの話をすると、母からこう言われました。
「あんたもこの先困っている人がいたら助けてあげなさい、そういう親切な心は巡り巡っていつかその人のところへ良い事となって帰っていくから」
父は「もしかすると本当に神様が可哀相に思って人間に姿を変えて現れたのかも知れんぞ」と。
もうずいぶん前の話になりますから、あの運転手さんもご高齢になられていて、きっともう運転手は引退されていることでしょう。
お健やかに穏やかに過ごしていらっしゃることを願っています。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net))から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)