「小1の時から嫌いだった同じクラスのガサツな男子。私が卵アレルギーだと知った彼が、皆の前で...」(大阪府・30代女性)
シリーズ読者投稿~忘れられない「あの人」と~ 投稿者:Eさん(大阪府・30代女性)
Eさんには小学生のとき、苦手なクラスメイトの男子がいた。
彼――N君はとてもガサツで、Eさんをからかってくることもあったという。
そんなN君との付き合いは1年生の頃から卒業まで続いたが、中でもEさんが鮮明に覚えているのは6年生のときの調理実習で起こった出来事。
Eさんは卵アレルギーだったので、皆とは違うものを作ろうとしていた。それを見たN君が、ある提案をしたという。
<Eさんの体験談>
小学生時代の同級生、N君のお話です。
初めて同じクラスになったのは1年生の時。彼は何かとガサツな子で、「おい!」と大声で呼んできたり、そうかと思えば、時々、冗談を言ってくるようなこともあって、何を考えているのか分からない彼が私は嫌いでした。
ある日、両親が朝から険悪モードだったことが心配で、色々と担任の先生に相談していた時、N君がやって来ました。
これがホントに「ガサツ」な彼?
「なんで、そんな悪い想像ばっかりするんだ?」
いつもガサツな彼が全く違う様子でそんなことを言ったので、私は呆然。そんな私を見て先生も
「そうね。N君の意見も一理あるわ。喧嘩するほど仲がいいって言ってね、お互いを大事に思うからこそ、喧嘩しちゃうって事はよくある事なのよ。きっと明日には仲直りされていると思うわ」
とアドバイスしてくださって私は落ち着くことができたのですが、彼の普段とは違う一面に対する驚きは消えませんでした。
月日は流れ、私たちが6年生になったある日のことです。家庭科の調理実習で、ロールケーキを作ることになりました。
当時卵アレルギーだった私は先生と相談の上、さつまいもでお菓子を作ることになったのですが......。
「わざわざ皆の前で言わなくても...」
私のアレルギーのことを知ったN君が、こう提案したのです。
「卵を使わないお菓子に変更して、皆でそれを作れば良くない?」
「わざわざ皆の前で言わなくても...」という気持ちもありましたが、Nくんの優しい気配りが嬉しかったのも事実で、私はとても複雑な気持ちがしました。
結局、私一人のためだけに皆を付き合わせるわけにはいかないので、私だけさつまいものお菓子を作りました。その最中も嬉しさと気恥ずかしさが相まった微妙な気持ちは残ったままでした。
そんな調理実習のお数日後、友達が私にこんなことを言われました。
「さっき、Eちゃんが笑っていた時、N君が嬉しそうな顔で見ていたよ」
「素直になれなくてごめんね」
どうやら、私が別の友達と談笑しているのをN君に見られていたようでした。
奥手で恋愛なんてまだ分からない私でしたが、今思えば、彼は少なからず好印象を持ってくれていたのかもしれません。
ですが、そうこうしているうちに卒業の日となり、N君は別の学区内の街へ引っ越して行きました。
きっと優しくて素敵な男性になったであろうN君を想像しながら、健康で幸せな人生を歩んでいてほしいと願っています。そして、あの時に言えなかったお礼を、心の中でそっとつぶやいています。
「おかげさまで今ではアレルギーは改善されて、食べることが楽しいよ。あの時は優しい気配りをしてくれて、どうも有難う。素直になれなくてごめんね」
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