「味が確かな店を紹介したい」 駅員自ら取材&執筆したフリーペーパー「東上線うどん紀行」に反響
東武東上線の駅員が作成した冊子が、ツイッターで密かに注目を集めている。その名も、「東上線うどん紀行」。
駅員おすすめのうどん店を紹介するという何だか少しマニアックな内容らしい。
個性的なフリーペーパーやフリーマガジンが大好きなJタウンネット記者としては、絶対見逃せない。
......というわけで早速手に入れてきたのが、様々なうどんの写真で埋め尽くされた表紙の
「駅員おすすめ 東上線うどん紀行
Vol.1 和光市駅~川越駅編」
である。
きっかけはコロナ禍による利用者の減少
「東上線うどん紀行」は表紙を含めて4ページ。つまり、両面印刷した紙を半分に折った形だ。
中の見開きでは、和光市駅から川越駅沿線の10店舗のうどん店を写真つきで紹介。いくつかの店舗で使えるクーポン券までついており、お得感もある。
おすすめメニューとその価格、連絡先や営業時間、定休日も載っていてうどん店巡りをするにはかなり便利なことは間違いなしだが......なぜ駅員がこんなものを作ったのか?
Jタウンネット記者が東武鉄道広部の担当者に取材すると、その理由を教えてくれた。
「コロナ禍で旅客収入が減少した危機感から、1駅でもいいから電車に乗って沿線のおいしいうどん店に行ってもらい、少しでも増収につなげたいと考え企画しました。
また、沿線にお住まいの方が増えれば、鉄道をご利用のお客様も増えるはずなので、地域と協力体制を構築し、魅力ある沿線にしていくことにつなげていきたいと考えました」
なお、テーマが「うどん」になったのは冊子を企画した東武川越駅管区(和光市駅から霞ケ関駅の13駅)の沿線には多くのうどん店があり、駅長はじめ所属員がよく食べに行っているため、その中でも味が確かな店を紹介したいとの思いがあったからだという。
「次の展開がしやすいように今回はvol.1」
また、冊子の作成にあたっては読んだ人に東武東上線に乗ってもらうという「増収」、地域との「協力体制強化」のほかに、「普段の駅ではできない仕事をすることによる気づきを、今後の管理者へのステップアップの一助としてもらう」という人材育成のため狙いもある。
そのため「東上線うどん紀行」の企画立案・取材・写真撮影・ページレイアウト・文章作成・校正などほとんどの作業を主任クラスの職員が担当。いつもと違う仕事に、頭を悩ませることもあったという。
広報部を通じて冊子の制作担当者にこだわりや大変だったポイントを尋ねると、こんな答えが。
「取材をおこなって聞き出した内容を短い文章で分かりやすく表現することにはこだわりましたが、最初は短すぎて何を言っているのか、せっかくの取材の内容が反映できなくて苦労しました。
また、写真をいかにおいしそうに撮るかというところにもこだわり、写真を見ておいしそう、食べたいと仲間に言ってもらったときはうれしかったです」
ちなみに、今回の「東上線うどん紀行」はVol.1。今後の展開も期待していいのだろうか?
そんな記者の問いに対し、広報担当者からは
「展開予定はまだないが、次の展開がしやすいように今回はvol.1としました。
東武東上線にはまだまだ駅があるので、2、3と続けていけたらと考えています。また、うどんに限らず、違う食べ物でも展開できるのではとも考えています」
との回答が。地元密着で働く駅員さんたちのオススメのお店をもっと知りたい記者としては、今後の発行が楽しみでしかない。
なお、Vol.1は2022年2月18日から東上線の池袋~坂戸間の各駅で、3月18日からはみなとみらい線の横浜~元町中華街間の各駅でも配布されている。