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地元でもほぼ無名のまま20余年? 不遇過ぎるゆるキャラ「アスティン」一夜にして全国デビュー

大山 雄也

大山 雄也

2022.03.30 17:33
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あるマスコットキャラクターがSNS上で注目を集めている。

徳島市にあるコンベンションセンター・アスティとくしまの「アスティン」だ。

アスティン(画像提供:徳島観光協会=以下同)
アスティン(画像提供:徳島観光協会=以下同)

アスティンが注目を集めるきっかけとなったのは、YouTubeやニコニコ動画などで活躍している4人組男性音楽ユニット「浦島坂田船」のメンバーによるSNS投稿だった。

同グループは3月21日にアスティとくしまでライブを実施。その夜にメンバーのセンラさんが自身のツイッターアカウントにある動画をアップしたのだ。

「徳島公演、お疲れ様でした!」と話すセンラさん。そして「アスティーン!」と名前をコール。画面外から「アスティン行きまーす」との掛け声とともにやってきたのが、アスティンのぬいぐるみだった。

このセンラさんの動画ツイートは、6000件以上のリツイート、2万2000件を超える「いいね」を集めるなど大きな反響を呼んだ(30日夕時点)。

さらに、センラさんだけでなく、メンバーのとなりの坂田。さんもツイッターのサブアカウント「あほのさかた(@sakatansab)」で21日に、アスティンくんのぬいぐるみとのツーショット写真を投稿。同日に行った「ツイキャス」配信でもアスティンくんの話題を出すなど、人気者たち可愛がられたアスティン。

しかし......読者の皆さんはこのキャラクターのこと、これまで見たことはあっただろうか?

どんなキャラクターなの?

ツイッター上ではアスティンくんについて、こんな反応が寄せられている。

「アスティくんっていう子いるんだ~」
「アスティンくんはじめまして」

徳島いえば、徳島特産のすだちをイメージした県のマスコットキャラクター・すだちくんが全国区の知名度を得ている。それに比べると、アスティンの知名度は......かなり微妙なラインと言えるのかもしれない。

実際、アスティとくしまのツイッターアカウントでは、となりの坂田さん。のツイートを引用する形で、こうコメントしている。

「ツイキャスでも触れていただいてありがとうございました!
一夜にして全国区デビューしたアスティンは幸せ者です」
かわいいけど、知らなかった......
かわいいけど、知らなかった......

浦島坂田船のメンバーたちのSNS投稿で日の目を見たということなのだろう。

では、今までアスティンはどんな人生(鳥生?それとも、キャラ生?)を送ってきたのか。Jタウンネット記者は3月24日、アスティとくしまの指定管理者である徳島県観光協会事業企画課の担当者に取材を行い、アスティンの生い立ちを聞いた。

「職員の入れ替わりにより、当時を知る者がおらず、また資料も残っていないため正確にいつ誕生したのかわかりません。おそらく2000年頃から始まったゆるキャラブームの影響を受け、誕生したのではないかと思われます」(徳島県観光協会事業企画課の担当者)

職員に存在すら忘れられていた

なんと、めちゃくちゃ曖昧だったのだ。

カモメがモチーフとなって作られたことはわかっているが、担当者によると「作者は今となっては不明ですが、当時の職員ではないかと推測されます」と、生みの親もはっきりとわかっていないという。

アスティンが不憫に思えてくるが、取材を進めるとさらにかわいそうな話が出てきた。

「アスティンは、マスコットキャラクターとして作成しましたが、あまり活用されることがありませんでした。職員が入れ替わっていく中で、いつしかその存在も忘れられつつありました」(徳島県観光協会事業企画課の担当者)
忘れられるなんて悲しすぎる......
忘れられるなんて悲しすぎる......

そんなアスティンに転機が訪れたのは、2008年ごろのことだった。

「とある職員がアスティンくんの存在に気付き、自主イベントのチラシに掲載することで復活しました。
その後、2011年6月に開始したアスティとくしまの公式ツイッターのアイコン、メモ帳やタオルといったノベルティグッズへの活用などを経て、ぬいぐるみも作成しました」(徳島県観光協会事業企画課の担当者)

施設のPRに一役買うまでに復活。とはいえ、一度は職員にすら忘れられていた存在とあって、アスティとくしまのツイッターアカウントでは、アスティンを「幻のキャラクター」と紹介する始末。

そんな状態であったため、もちろん一般に広く知られているはずもない。担当者はこう漏らす。

「ほぼ無名です(笑) 県内でも知る人ぞ知る、まさに幻のキャラクターでした」

「現実化して動き出すかもしれません」

そして、2022年3月21日。

不遇の道のりを歩んできたアスティンは突然、まばゆいスポットライトで照らされた。

「今回、浦島坂田船の皆さんに遊んでいただいたことで全国区デビューすることが出来ました。
今後もコンサートでの楽屋訪問や、他の大規模催事でも何らかの形で登場させていただければと考えています。
実は今回、SNS投稿で登場したぬいぐるみはまだ試作品でした。それでも、多くの方々から『可愛い』とお褒めいただきました。より一層可愛くなるであろう『完全版』をご覧いただくのが待ち遠しいです。当館は来年10月に開館30周年を迎えますが、もしかするとアスティンが現実化して動き出すかもしれません」(徳島県観光協会事業企画課の担当者)
アスティンが動き出すのも近い!?
アスティンが動き出すのも近い!?

担当者は「同じカモメをモチーフにしたキャラクターの先輩である『よこすか海軍カレー』の公式キャラクター・スカレーちゃんのような、地元を代表するキャラクターとなり、施設のPRだけではなく徳島県全体のPRにつながるような存在を目指します」と野望を語る。

浦島坂田船が引き起こしたビッグウェーブに乗っかって、アスティンの長かった下積み時代はもはや終わりを迎えたのかもしれない。

徳島の名物キャラになるために、これからもがんばれアスティン!

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