「赤ら顔の中年男性に、駅のホームで睨まれた。知らんぷりしていると近付いてきて、私の頭から...」(東京都・40代女性)
見知らぬ男性がいきなり、こちらを睨みつけてきた――。
そんな緊張感あふれるシチュエーションからはじまる体験談が、東京都在住の読者・Fさん(40代女性)からJタウンネット編集部に寄せられた。
6年前の夏。仕事を終えたFさんは駅のホームで電車が来るのを待っていた。
時刻は23時すぎ。周囲には同じく会社帰りのサラリーマンや飲み会帰りの人々もいた。
そしてふと、ひとつ隣のドアのところに並んでいた男性が自分のことを睨みつけていることに気が付く。
Fさんがしばらく無視していると、男性はFさんの元へと向かってきて、そのまま無言で手を伸ばしてきた。いったい、どうして――?
睨んできたのは赤ら顔のサラリーマン
6年前の夏のことです。仕事から帰宅するため、埼玉県の大宮駅のホームで、列の先頭に並び電車を待っていました。
時間は、23時すぎ。残業か、飲み会帰りのサラリーマンがたくさんいる時間帯でした。
そんなとき、1つ隣の離れたドアの先頭に並ぶ中年男性が、目を細めて私を睨んできました。
睨んできた中年男性は、少し赤ら顔のスーツのサラリーマン。
この時代、変な人も多いので、睨まれて少しムカつきながらも、下手に酔っぱらいに関わらないようにと無視していました。
そしたらなんと、その中年男性が私の方に向かって来たのです!
殴られる!と思ったその瞬間
私がびっくりして固まっていると、さらにその男性の右手が私の頭めがけて伸びてきました。
「酔っぱらいに殴られる!」
そう思った瞬間、男性が私の頭から何かを掴んだんです。
そして、無言のまま、私の目の前で手を開いて中身を見せてから、そのまま線路の方向に投げ捨てました。
中年男性の手の中にあったのは、夏の青々しいバッタでした。
男性は、私の頭の上にバッタが乗っているという不思議すぎる光景を、目を細めて確認していたんですね。
無言で近づいてきて、無言で手を伸ばしたのも、
「頭にバッタいますよ」
なんて言えば、私がパニックになるのは目に見えていたからあえて無言で行動されたのだと、納得がいきました。
その上で、「どうしてこんな行動をしたのか?」という理由を、これまた無言で手を開いて見せてくれてから、放り投げてくれたのでしょう。
睨んでくるムカつく男性!と思っていたら、本当はとっても優しい男性だったんですよね。
わざわざ隣の列の先頭から来てくれた
そのときは、あっという間の出来事に、何も言えずに立ち尽くしてしまい、テンパり過ぎて、一言も発せられずお礼も何も言えませんでした。
わざわざ離れた隣のドアの先頭から歩いて来てくれた男性に
「その節は、ありがとうございました」
とお礼が言いたいです。
それにしても、いつから頭にバッタが乗っかってたのか、どこで乗っかったのか全く分かりません。
頭にバッタが乗ってても気付かない私の頭の感覚って......と微妙な気分にもなりました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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