「通勤ラッシュのバスに乗り、小学校に向かう私。大きなランドセルのせいで、肩身が狭かったけど...」(東京都・40代女性)
今でも忘れられない――あなたにはそんな「思い出の人」はいるだろうか。
旅行先で知り合って仲良くなった、通りすがりに自分を助けてくれた、幼いころに仲がよかった......。もう二度と出会えないかもしれないけれど記憶のなかにいつまでもある、そんな存在だ。
東京都在住のJタウンネット読者・Fさん(40代女性)が語ってくれたのは、小学生の頃に知り合った年配の女性との思い出だ。
家から少し離れた小学校に通っていたFさんは、通勤・通学ラッシュの時間帯に電車とバスで通学していた。背中に背負った大きなランドセルは、彼女に肩身の狭さを感じさせていたという。
そんな時に声をかけてくれたのが、その人だった。Fさんを隣の席に座らせてくれたのだ。次の日も、その次の日も......。
そして数年後、別れは突然訪れた。
「ここ、空いてるわよ」
私は小学生のとき、バスで20分、電車に乗り換えてさらに20分の距離にある私立の小学校に通っていました。毎朝、通勤・通学ラッシュの時間帯の公共交通機関のなかで、大きなランドセルの私は、肩身が狭かったのを覚えています。
ある日、2年生の時です。バスに乗っていたら座席に座っていた50代くらいの女性が
「ここ、空いてるわよ」
と、自分の隣を指さしながら、私に声をかけてくださいました。
はじめはお断りしたのですが、何度も声をかけてくださったのでお礼を言って座ることに。
穏やかで優しいその女性は私が乗るバス停よりも前のバス停から乗っているらしく、毎日必ずと言っていいほど座席を確保しているようでした。
「おばさまの隣の席は私の指定席」
それから毎日、私がバスに乗り込むと手を振って
「こっちよ!」
「おはよう!」
と手招きしてくださるようになり、おばさまの隣の席は私の指定席になりました。
毎日会ってお話するうちに、「学校でこんなことあった」「習い事の練習が大変」「先生に褒められた」「昨日お母さんに怒られた」など、まるで友達に話すように、いろいろな話をするようになりました。
なかでも印象的だったのは、ある雨の日のこと。
私が折りたたみ傘を持っていて、うまくたためずぐしゃぐしゃになっていたのを見て、「こうやってたたむのよ」と自らの折りたたみ傘を一度全てほどいて、私にたたみ方を教えてくれたことです。
本当に面倒見が良く、優しい方でした。
何年か関係は続いたのだが...
その後、おばさまとの関係は何年か続いたものの、ある日突然通学ルートを変更することになってしまいました。あまりにバスが定刻通りに着かず、学校に遅刻してしまいそうになったことが何度かあったからです。
お別れのご挨拶もできず、あれっきりになってしまったのが、ずっと心残りでした。
お名前も住んでいる所も、全くわかりません。ご健在だったら80代くらいではないでしょうか。あの時は本当にありがとうございましたと伝えたいです。
1人で片道1時間、心細かった通学が、あの日から劇的に変わりました。毎朝のお喋りが楽しみだったのをよく覚えています。
私も出会った人に優しくしたい、と思わせてくれた方でした。
今でも忘れられない人はいますか?
読者の皆さんには「忘れられない人」がいるだろうか。
また会えるかどうかわからないけど、忘れられない――そんな人との思い出をJタウンネット編集部に聞かせてほしい。
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