「二歳の娘がお茶をこぼし、近くの女性の白い服を汚してしまった。半泣きで謝る私に、その人は...」(千葉県・50代女性)
「あの眩しい笑顔は妖精のようでした」
20年前、1歳の娘を連れてテーマパークへ行った時の事です。
その日はとても暑い日で、水筒に入れていたお茶が無くなってしまい、パーク内でウーロン茶を買って水筒に移して娘に飲ませていました。
やがてパレードが始まる時間になったので、私は娘を膝の上で抱っこして待っていました。その時、娘が突然むずかって足をばたばたしてしまい、足元の氷の入ったカップを倒してしまったのです。
私は慌てて持っていたタオルで周囲を拭いたのですが、私の前に座っていた、娘と同じくらいの歳のお子さん2人を連れたご家族のお母さんの白いズボンが濡れてしまったのです。
申し訳無くて、私は彼女にクリーニング代を渡そうとしました。しかし、そのお母さんは泣きそうになっている私の手をそっと押し戻し、
「お母さん、そんなに悲しまないでください。ここは夢と魔法の王国じゃないですか。パレードももう始まるし、せっかくだから楽しみましょう!」
と言ってくださいました。その後、パレードが終わってその方が立ち上がった時にはズボンもすっかり乾いていて、幸いシミにはなっていなかったようでした。
「せっかくだからパークを楽しんでくださいね~!」
別れ際にそう言って、そのお母さんは笑顔で私たちに手を振ってくださいました。
あの夏の暑い日、あの方の眩しい笑顔は本当にパークに存在する妖精のようでした。
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