福知山市公式アニメ「転生したら鬼退治を命じられました」に反響 退治された「酒呑童子」の正体とは
源頼光と「頼光四天王」とは?
WEB動画『転生したら鬼退治を命じられました』の下敷きとなっているのは、「酒呑童子絵巻」だという。福知山市にある「日本の鬼の交流博物館」に所蔵され、現在公開されているそうだ。「酒呑童子絵巻」とはいったいどんなものなのか?
Jタウンネット記者の取材に応じたのは、福知山市文化スポーツ振興課文化財保護係の担当者だった。

――「酒呑童子絵巻」は、いつごろ、誰が描いたものでしょうか?
「『酒呑童子絵巻下巻(全三巻)』の奥書には、落款と共に『英一蝶六十歳の画(はなぶさいっちょうろくじゅっさいのが)』と書かれていますが、伝本か又は本人の原本なのか。その真偽は不明です。描かれた年代につきましては、江戸時代中期~後期とされています」(文化財保護係担当者)
文化財保護係担当者は、「酒呑童子絵巻」に登場する主な人物を解説してくれた。討伐部隊となるのは、次の武士たちだ。

源頼光(みなもとのよりみつ)...
「平安時代の武将で、清和源氏の三代目。鬼退治、土蜘蛛退治など武勇たぐいなき名称と描かれるが、資料的には実際に明確な武略を裏付けるものは殆ど見られず、都に合って摂関家の警護役を果たしつつ国司を歴任し、貴族としての生活に慣れ親しんだものと思われます。絵巻や浮世絵では、衣装に源氏の代表的な笹竜胆の模様が描かれていることが多く、見分けることが比較的容易です」
藤原保昌(ふじわらのやすまさ)...
「平安時代中期の貴族で、各地の国司を歴任。丹後守としても、和歌で有名な和泉式部と共に国府宮津へ赴任しました。平家の出身ではありませんが、武勇に優れていることで知られており、『酒呑童子伝説』のほか『今昔物語集』の盗賊袴を恐れさせた説話が有名です。頼光四天王には含まれず、頼光と同等の立場として物語には登場しているようです」
渡辺綱(わたなべのつな)...
「平安時代中期の武将で源頼光に仕え頼光四天王の筆頭として知られています。豪勇で知られ、酒呑童子退治の他、一条戻り橋(若しくは羅生門)で鬼の腕を斬り落とした説話が有名です。鬼博所蔵の『酒呑童子絵巻』では綱が羅生門の鬼(茨木童子)の腕を斬り落とす場面が描かれたのち、酒呑童子物語が始まります」
坂田金時(さかたのきんとき)...
「頼光四天王の一人で伝説上の人物とされます。幼名金太郎の名で有名。山姥に育てられたのち、足柄峠で頼光に見いだされ、後に酒呑童子退治に参加したとされます」
碓井貞光(うすいさだみつ)...
「頼光四天王の一人。今昔物語に登場する『平貞道』と同一人物とされます」
卜部末武(うらべのすえたけ)...
「頼光四天王の一人。今昔物語に登場する『平季武』は同一人物とされます」

一方、酒呑童子側として登場するのは......。
酒呑童子...
「酒顛、酒呑、酒天、酒典など、表記は様々あります。酒が好である点から御伽草紙で使用された『酒呑』が一般的に知られるようになりました。通力自在の悪鬼として諸国を遍歴のち大江山に至ります」
茨木童子...
「酒呑童子の家来。京都一条戻り橋(若しくは羅生門)では渡辺綱とわたりあい、腕を斬り落とされるが、綱の伯母に化けてまんまと腕を取り返します。福知山市にある鬼ヶ城は茨木童子が棲んだ城だと伝わります」
なんとも一癖も二癖もあるキャラクターばかりではないか。