これは間違いなくサイコー! とある旅館で誕生した「おばあちゃん作イブリガッツォ」のみっちり感がたまらない
2021年、日本のスイーツ界に一大ブームを巻き起こした「マリトッツォ」。
洋菓子店だけでなく大手コンビニやスーパー等でも続々と販売されるようになった。中には「トマトッツォ」や「マツモットォ」など、マリトッツォに独自のアレンジを加えたものもツイッターを中心に話題となり、Jタウンネットでもいくつか紹介してきたが......。
ブームがやや落ち着きを見せた22年1月。また新たな「マリトッツォ」の派生形が、熱い視線を集めているのだ。

その名も、「イブリガッツォ」。秋田名物のいぶりがっこで、クリームチーズを挟んだおつまみだという。「こんなに挟んでもらっていいんですか!?」というくらい、クリームチーズがみっちりと詰められているのが特徴的だ。
長野県・白馬村で旅館「木塵」を経営する柏原周平さん(@backyennew)が、1月22日にツイッターに投稿すると大きな反響を呼び、7万弱の「いいね」、1万5000弱のリツイートが集まっている(25日時点)。
リプライ欄には、
「合うんだよ。いぶりがっことクリームチーズ」
「なんにでも合いますが、私は日本酒のお供が好きです」
「マリトッツォより断然こっちがいい!! 素晴らしいセンス!!」
「いぶりがっこのクリームチーズ挟みは食べたことあって大好物ですが、イブリガッツォは初めてです。絶対に好き!食べたいです」
などの声が寄せられ、皆さん興味しんしんの様子。
この「イブリガッツォ」は、はたしてどのように誕生したのだろうか。Jタウンネット記者は24日、投稿者の柏原さんに詳しい話を聞いた。
家族経営の旅館で好評
マリトッツォを参考にイブリガッツォを創作したのは、柏原さんのお母さんだという。

昨年末、お母さんが秋田県を訪れた際にお土産としていぶりがっこを購入。
それを活用し、家族経営の旅館・木塵で宿泊客に料理の1つとして提供したそうだ。
「日本酒の好きな常連の方だったので喜んで頂けたようです」(柏原さん)
いぶりがっことクリームチーズを合わせたオードブルは以前に作ったものの、マリトッツォを参考にしたメニューは初めてだったのだとか。
味の感想を尋ねると、柏原さんは
「スモークの香りと塩味、クリームチーズの柔らかい口当たりにパリパリの歯応えが楽しいおつまみです」
と、コメント。この日は美味しい日本酒と楽しんだそうだ。
そんな柏原さんは、いぶりがっこ文化の存続に危機感を覚えているとも語る。
零細の高齢農家が多く...
たとえば、21年12月6日に「時事ドットコム」が配信した記事「いぶりがっこ、伝統の味ピンチ 衛生基準導入、高齢農家『何年できるか』―秋田」では、秋田の郷土漬物・いぶりがっこの生産者が減っていく可能性について紹介している。

もともと、いぶりがっこは、漬物として使う干し大根が凍ってしまうのを防ぐために大根を囲炉裏の上に吊るして燻し、米ぬかで漬け込んだ、雪国・秋田の伝統的な漬物。「がっこ」は、秋田の方言で漬物のことだ。
しかし、改正食品衛生法が施行されたことで、衛生基準を満たすためには作業小屋に多額の改修費がかかることに。
作り手には零細の高齢農家が多いことから、これまでのように生産・販売はできなくなることが懸念されている。
この問題について、柏原さんは次のように語った。
「(秋田へ)旅行に行った母がお土産屋さんで、いぶりがっこには色んな種類と生産者がいて全部味や特徴が違うことを知り、買い物を楽しんだようなので、その文化が失われてしまうのは悲しいです」
「今回のことで注目と需要が高まり、小さな生産者が守られる事を期待しています」(柏原さん)
存続が危ぶまれている、秋田名物・いぶりがっこ。普段、漬物はあまり食べないという人も、クリームチーズとの鉄板の組み合わせで「イブリガッツォ」を味わってみるのはどうだろうか。
おばあちゃん作
— 柏原周平 (@backyennew) January 22, 2022
「イブリガッツォ」 pic.twitter.com/n0S3tI5mXK