「ととのう」ってレベルじゃねえぞ! 長崎にある「石窯サウナ」が「儀式の場」にしか見えない件
「ヤバいサウナに行ってきた」
そんなコメントと共に投稿された写真が、ツイッターで話題になっている。
一体、何がどう「ヤバい」のか。現場の様子が、こちらだ。
こちらは、体験型イベントの企画制作事業などを手掛けるアフロ&コー(東京都渋谷区)の代表兼クリエイターである「アフロマンス」さんが2021年12月1日、自身のツイッターアカウント(@afromance)に投稿した写真。
黒い壁に囲まれた入口の奥で、真っ赤な炎がメラメラと燃え上がっている。
屋内でこれほどの火が焚かれていたら、中は相当な温度になっているはず......この中に入るのが「サウナ」だというのか?
見るからにハードな光景に、ツイッター上ではこんな声が寄せられている。
「神秘体験すぎる!」
「やばすぎます!不穏!」
「ベーコンか何かにされそうですね......」
「ニンゲンの蒸し焼き...」
「罪人のような気持ちになるよ」
ヤバいと噂のサウナは、長崎県中央部・諫早(いさはや)市にある「御湯神指しベストパワーランド」の「ドーム式石窯サウナ『來磊(らいらい)』」だ。
全国の一風変わったサウナ巡りが好きだというアフロマンスさんは、サウナ通の知人に誘われて11月24日に訪れた。
「私と知人ともう1人の3人で行きました。私以外の2人は経験者だったのですが、行きの車の中では『罪人のような気持ちになるよ』『あそこは何人かいなくなっててもおかしくない』などと冗談まじりのトークがあり、ビビリながら現地に向かいました」(アフロマンスさん)
男性用の浴場の中に入ると、まず風呂場があり、その奥にサウナへの入り口があるという構造だったそうだ。
「スタッフのおばちゃんに言われるがままにお風呂に入り、『(うちのサウナは)初めて?初めての人はノックして、初めててですって言って』と言われ、ノックして『初めてです』と言って入りました。
入ってみると、サウナがあるべき場所には巨大な石窯がありました」(アフロマンスさん)
スタッフに頭から麻袋を被るように言われたアフロマンスさんは、この格好のまましゃがみながら石窯の中に入り、うつ伏せの状態で時間がくるまで耐えていたという。
これだけ聞くと、なんだかサウナと言うより何かの刑罰みたいだ......。
「石窯の中は熱いは熱いですが、しゃがむ場所によって差が大きいようでした。私は、最初は初心者向けの火から離れた場所にいたので耐えられないというほどではなかったですが、同伴した2名は最初から火の近くに行っており、『熱い』『熱い』という声が聞こえていました」(アフロマンスさん)
ちなみに、アフロマンスさんも慣れてくると火の近くに陣取ったり、体を少し起こしたりくらいはできるようになったという。
「脳が処理しきれてない感じ」
10分ほど時間が経ったところで、アフロマンスさんたちは声をかけられて石窯の外へ。体にはかなり炭がついていて驚いたという。「お風呂はこの炭を洗い流すためにあるような感じです」と振り返った。
なおこの後、「お風呂→石窯サウナ」のセットをもう2回繰り返したそう。
「非日常な旅を経験すると、よく『現実に戻りたくない』って言いますが、石窯サウナを体験した時は『現実に戻りたいけど、戻れない』という感覚でした。
あれは一体なんだったのか、と脳が処理しきれてない感じで、しばらくボーッとしてしまう。そんな不思議な体験でした」(アフロマンスさん)
韓国のサウナを参考にした
Jタウンネット記者は、アフロマンスさんが体験した石窯サウナについて、御湯神指しベストパワーランドにも話を聞いた。
同施設代表の中島恵美子さんによると、注目を集めているサウナ「ドーム式石窯サウナ『來磊(らいらい)』」は、2000年の6月から営業している。
「サウナを始める前、私の家は建設業を営んでいました。しかし、それだけでは食べていけないということで、何か別のことを始めようとなりました。
そこで、以前に会社の社員旅行などで訪れた韓国で出会った石窯の中に入る形式のサウナに着目し、日本国内にはまだないものということもあって、私の父が初代としてドーム式石窯サウナを始めました」
中島さんいわく、「來磊」の中の温度は実に150度ほどにもなる。一般的なドライサウナの温度が高くても100度前後であることを考えると、やはりかなりの高温だ。
「また、普通のサウナが表面から体を温めるのに対して、石窯サウナでは中央の炎によって熱せられた石窯から遠赤外線が発せられることで、芯から体が温まるんです」(中島さん)
体の芯から温められるおかげで、サウナから出た後もしばらくは体がじんわりと暖かいままになるそうだ。なお、入る際に麻の袋を被るのは、体表が日焼けのような状態になると体を芯から温める効果が薄れてしまうので、それを防ぐためとのこと。
中島さんは、ツイッター上で「來磊」が反響を呼んでいることについて、
「うちは特に広告や宣伝を積極的に行っているわけではないので、こうしてSNS上などで広まってくれるのはありがたいです。これをきっかけに遠方からも足を運んでくれる人が増えたらいいなと思います」
とコメントしている。