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「ゲーセンで財布を落とし、大金を失った私。絶望して泣いていると、暗いロッカールームに連れていかれ...」(千葉県・20代女性)

大久保 歩

大久保 歩

2021.11.08 11:15
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自分を犠牲にしてでも困っている人に手を差しのべる――もし、そんな人に出会ったらあなたはどう感じるだろう。

さらにそれが、歴史に残るほどの天災の渦中であったら......強く記憶に残るに違いない。

3.11の日、手を差し伸べてくれたのは...(画像はイメージ)

2011年3月11日。東日本大震災が起こったあの日、千葉県在住のYさん(仮名、20代女性)はそんな体験をした。

中学校の卒業式を終えたばかりの彼女は、地震が起きた瞬間、ゲームセンターで仲間たちと遊んでいた。

突然の大きな揺れ。慌てて外に出ると、地面は液状化し、周囲の建物が傾いて......そんな混乱の中、彼女は財布を落としてしまうのだが――。

あの日、Yさんが体験した驚きのエピソードを追っていこう。

地面が液状化する中、帰宅すると

2011年3月11日。その日、私は中学校を卒業しました。

無事に卒業式を終え、たくさんの思い出を作った仲間とゲームセンターへ行き、中学生最後の時間を楽しんでいました。

そこに突然、大きな揺れが。

最初は歴史に残る大地震になるとは思っていませんでしたが、そこから大きな揺れに変わりました。

とっさに外へ避難すると、地面は液状化。グレーの液体が噴出し、電線は緩み、傾いている建物もありました。

地面が液状化して...(画像はイメージ)

揺れがしばらく収まったところで、とにかくいったん家に帰り......そこで、気付いたのです。私は財布を無くしてしまっていました。

中身は4000~5000円程度だったと思います。当時の私にとっては、大金でした。

私は揺れが完全に収まったことを確認し、ゲームセンターに戻ることに。

店員さんに事情を説明すると、財布が届いていたと渡してくれましたが、安堵したのは束の間のこと。

中身だけきれいに抜き取られていたのです。

暗い中、懐中電灯を持った店員が...

私は絶望して、思わず涙を流してしまいました。

すると店員さんが、暗い建物の中で懐中電灯を持ちながら、こう言いました。

「こっちに一緒に来て下さい」

そのままついていくと、そこは社員のロッカーでした。

暗い店内で、社員用ロッカーに案内され...(画像はイメージ)

その店員さんはロッカーに入っていたジャケットの上着から財布を取り出し、私に5000円を差し出しました。

「お礼はいらないし、返さなくていい」

そんなことを言われ、初めは断りましたが「いいんです」と店員さん。私はその人に感謝を伝え、お金を受け取りました。

母親にその出来事を伝えると、後日お礼をしに行くことになりゲームセンターに行きましたが、店員さんの名前を伺っていなかったのと、暗い部屋でのことだったので顔もよくわからず、結局会うことができませんでした。

あの時の店員さん。泣いている私を心配してくれて、ありがとうございました。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

おそらく誰もがパニック状態の中、見知らぬ中学生に5000円を渡したという、ゲームセンターの店員。涙する彼女を見て「助けてあげなくては」と感じたのだろうか。その後、その人にも良い出来事があったことを祈るばかりだ。

皆さんも、何かピンチに遭遇した際に、誰かに手を差し伸べてもらった経験はあるだろうか。

Jタウンネット編集部では、自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」の声を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※なお本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)

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