「小さめな鶏の半身は塩だれに漬けてから焼いている。」 ラノベみたいな名前のお惣菜に反響→名付け親を直撃してみた!
「ラノベみたいな鶏肉出版されてた」
あるツイッターユーザーがそんなコメントを添えて投稿した画像が話題だ。2021年9月20日に投稿された当該ツイートは、24日夕方時点で3万5000件以上もリツイートされている。
画像はスーパーの惣菜コーナーでよく見かけるお肉のお惣菜を映したもの。ただし、商品名がやたらと長い。
「小さめな鶏の半身は塩だれに漬けてから焼いている。」
これが商品名だ。名称というには「文章」すぎる。これはたしかに、ライトノベルのタイトルのよう。例えば『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 (電撃文庫)とか、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(ガガガ文庫)の後ろに、
「小さめな鶏の半身は塩だれに漬けてから焼いている。」
とあっても、まったく違和感ないだろう。「鶏の半身」や「焼いている。」というフレーズに忘れかけていた何かをくすぐられてしまった人は記者だけではないはずだ。
「この商品名をつけた人はライトノベルに造詣が深い人に違いない!」
そう決めつけた記者は24日、商品を企画した本人に、「意識したラノベってあるんですか?」と聞いた。
「本当に驚いているんです」
話を聞いたのは、北海道札幌市のコープさっぽろ畜産部でバイヤーを務める奈須野貴大さん。「ラノベを意識している」という暗黙の前提に立った記者の質問を、
「いや、正直何もないですね」
と、ばっさり。なんと、ラノベを意識して商品名を考案したのではないというのだ。
普段から本は読むが、ラノベはまったく読まないという奈須野さん。今回話題になったような長い商品名を打ち出していったのは20年の7月頃からだったという。
元々は奈須野さんも、他のスーパーなどでもよく見かける普通の商品名を付けていた。だが、「もっと商品の味や作り方がお客様に伝わらないか」と試行錯誤した結果、商品名をできるだけ詳細に記載することを決意した。
「商品名を見て、どんな商品なのか知ってもらいたかったんです」(奈須野さん)
商品名には24文字という文字数制限があるため、その範囲でできるだけ商品の味や作り方などが伝わるように盛り込んでいく。その結果、ラノベタイトルのような長い商品名になってしまったのだという。
今回ネット上で話題になったことについては、
「本当に驚いているんです」
と、驚きを隠しきれない様子。これをきっかけに、ラノベのタイトルについて研究していくそうだ。もちろん、商品名の参考にするために、である。
ちなみに、今回の商品以外には以下のようなものがある。
「少しづつ、3点くらいおつまみを食べたいのです。」
「本日焼きました。こちら牛ヒレステーキです。」
「鶏の骨付きモモ(ハーブ焼)はこれくらいでも良い。」
「丸鶏にハーブオイルを塗り、30分は焼きました。」
たしかに商品名を見ただけで特徴が分かりすぎるほど伝わってくる。
ネーミングのキレだけではない
企画者の意図とはまったく違った形で反響を呼んだ今回の商品。これを受けてコープさっぽろでは、イケてるPOPも作成し、「ラノベみ」を打ち出している。
なんだか見覚えのあるような文字の配置に、「ラノベみのあるお惣菜が買えるのはコープさっぽろだけ!」という煽り文句までついている。
コープさっぽろによれば、今回話題になった惣菜は、店で扱っている新鮮な野菜や肉・魚を使い、店内で調理して出来たての状態で販売されている。
ネーミングのキレだけでなく、味にも自信満々だ。
取り扱い店舗は公式サイトでチェックできるため、気になる人はぜひ店舗に足を運んでみては。