「幼い息子と乗った新幹線、隣の席には酔っ払いのおじさんが。『ハズレくじだ』と思い、警戒していたら...」(兵庫県・50代女性)
新幹線で移動する際、家族やグループでの旅行でもない限り、隣の席には見知らぬ人が座る場合が多い。
それがどんな人かで、旅の快適度は大きく変わる。
もし酔っ払いだったら......しつこく絡まれるかも、と身構えてしまう人もいるだろう。
コロナ禍でなかなか旅行に行けない今、かつての楽しい思い出を振り返ろうとJタウンネットが「旅先でのいい話」を募集したところ、兵庫県の50代女性N乃さん(仮名)から、まさにそんなエピソードが寄せられた。
「え、隣の席がヤバい人だったっていう話じゃないの?」と思った読者の皆さん、安心して欲しい。これはあくまでも「いい話」なのだ。
それは今から20年ほど前。N乃さんの18歳の息子がまだ赤ん坊だった時のこと。
彼女が確保していた新幹線の指定席の隣には、一人の酔っ払いおじさんが座っていた。
「ねぇ、抱っこしていい?」
「東京の実家から神戸に帰る時のことです。私が取った新幹線の指定席の隣に、酔っ払っているおじさんが座っていました。しかも、始発の時点で」(N乃さん)
内心「あ~、ハズレくじだ」と思いながら席に座ったN乃さん。「何もトラブルが起きなければいいけれど」と心配していたのだが......。
「おつまみを食べ、缶酎ハイを呑みながら、おじさんは息子を見ては『かわいいなぁ...かわいいなぁ...』と言ってあやしてくれます。
そして、『生後何ヶ月か?』『どんな物が食べられるのか?』など質問して来て、話しているうちに悪い人ではなさそうだとわかってきました」(N乃さん)
彼女の心配とは裏腹に、おじさんはとても気さくな性格だったそうだ。
「新横浜を過ぎて名古屋までノンストップのタイミングで、『ねぇ、抱っこしていい?』と言ってきました。断る理由もないので抱っこしてもらうと、『すぐ後ろのデッキまで散歩してくる』と言って歩いていきました」(N乃さん)
これまでのおじさんの優しいふるまいと、しばらくは止まらない新幹線。何も起こることはない、N乃さんは感じたのだろう。もしかしたら、おじさんも彼女に無用な心配をさせないために、そのタイミングで切り出したのかもしれない。
車両の一番後ろの席に座っていたN乃さんが時々振り向くと、おじさんと息子は窓の外を見ながら楽しそうにしていたという。
「あの時のおじさん、ありがとう」
せっかくおじさんが息子の相手をしてくれているので、N乃さんはその間に食事を済ませてしまおうと思い立った。
「『あの...抱っこして貰っている間にお弁当食べちゃっていいですか?』と私が聞くと、おじさんは『もちろん!食べちゃって!』と言ってくれました。
私が食事している間も二人は楽しそうにしていて、それからおじさんは頃合いを見て『はい、ただいま』と戻ってきました。最初の印象とは違い、もはや『気のいいおじさん』でした」(N乃さん)
その後、おじさんは新大阪の駅で新幹線を降りていったという。
「その時も、息子に名残り惜しそうにバイバイしていました。
あの時のおじさん、ありがとう。おかげさまでゆっくり駅弁を食べることが出来ました」(N乃さん)
「忘れられない旅先でのエピソード」、教えて!
コロナ禍で旅行に行きづらい今、せめて過去の旅行の素敵な思い出を振り返りたいという人も多いだろう。
そこでJタウンネットでは読者の皆様の「旅先のほっこりエピソード」を募集したい。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、旅行に行った時期・場所、具体的なエピソード(どんなことにほっこりしたのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。