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旅先いい話

「対向車の運転手が、血相を変えて手を振ってくる。何事かと車を止めるとまさかの事態で...」(静岡県・50代男性)

福田 週人

福田 週人

2021.08.23 11:00
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「一歩間違えたら死んでいたかもしれません」

コロナ禍でなかなか旅行に行けない今、かつての楽しい思い出を振り返ろうと、Jタウンネットでは「旅先でのいい話」を募集している。

今回ご紹介するのは、静岡県の50代男性T麻さん(仮名)から寄せられたエピソードだ。

妻と二人で和歌山県の熊野の山道を車で走っていたT麻さん。車中泊で伊勢から熊野、奈良へと向かう、一泊二日の旅行中のことだ。

山道のカーブで鉢合わせた対向車のドライバーが、T麻さんに向かって手を振っていた。

――もしかして、知り合いかな?

そう思って運転席を見ると、その人は血相を変えて何事かを訴えていた。不審に思って車を停めると......。

エンジンから炎が...!

「2019年11月に妻と二人、軽1BOXで車内泊で一泊しながら伊勢→熊野→奈良のコースを巡る予定でした。
1日目は奥伊勢の道の駅で一泊し、午前中は熊野の神社を巡り、熊野から上北山村を通って奈良に抜ける予定で山道を走っていました」(T麻さん)

丁度とあるカーブを抜けた時、前から来る車の運転手がT麻さんたちに向かって手を振っているのが見えた。

「『はて、こんな所で知り合いに会う事なんてあるのかな?』なんて思いながら、すれ違い様に向こうの運転席を覗き込んだら、血相を変えた顔で何やら訴えていました。
不審に思ってその後すぐ路肩に駐車したところ、私たちの車の前に白い煙がブワッと広がったのです。『あ、オーバーヒートかな?』と車を降りて確認したところ、なんとエンジンから火が出ており、そのうち足元に黒いエンジンオイルが流れて来ました」(T麻さん)

エンジンは車の座席の下辺りにある為、T麻さんは急いで妻を車から降ろしてエンジンルームを開け、持っていた水筒の水をかけてようやく消火。オイルクーラーの配管からオイルがふきだし、燃えていたらしい。

熊野の山道で体験した「旅先いい話」(画像はイメージ)
熊野の山道で体験した「旅先いい話」(画像はイメージ)
「そうこうしているうちに、先程手を振って状況を教えてくれたドライバーの方が心配してUターンして来てくれました。単身赴任で三重に行く途中だったという事でした」(T麻さん)

そのドライバーはT麻さんがロードサービスを待つ間にも、地元の車屋に連絡するなど親切にしてくれたという。しかし、あいにくその日は日曜日の為にどこも不在だった。

「その方が仰るには、『この辺りはちょうど先週くらいに携帯のアンテナが建った。1〜2キロ過ぎるとまた電波が届かなくなる場所だから、故障したのは不便ですがこの場所で幸いだよ』との事でした。結局、レッカーが来るまでの1時間弱も一緒にいてくれて、とても親切な方でした」(T麻さん)

だが、T麻さんさんたちの受難はこれでは終わらなかった......。

レッカーが到着したものの...

「そしてようやくレッカーが到着したのですが、『日曜日だから車屋に持っていってもたぶん休みで、後日また引き取りに来なければならない。自宅までレッカーのまま届けるにしても、距離にして300キロ位あるから料金もかなりの金額になってしまう』との事でした」(T麻さん)

そこで、多少は車の知識があるT麻さんはレッカーの作業員に、「ホームセンターに持っていってくれれば、そこで材料を調達して自分で何とか直して帰るから、そこまで乗せてくれませんか?」と提案した。

「すると、『オイルがかなり吹いてるからしっかり洗浄しないとまた燃えるよ。なんだったらウチの工場に来てやる?』と提案して下さったので、お言葉に甘えて工場で作業する事にしました。
30分ほど山道を走ってようやく工場に着き、リフトで車を挙げてもらいました。オイルクーラーの配管の取り回しを変えて接続していたら、レッカーの人が『前のタイヤ、内側ワイヤーが見えてるよ。要らないタイヤあるから変えていきなよ』といってタイヤとホイールを2本変えて頂きました」(T麻さん)

工場で作業させてくれた上に新しいパーツも提供してくれたり、さらに修理の間にコーヒーまで出してくれたり......レッカーの作業員もT麻さんにとても親切にしてくれたそうだ。

画像はイメージ
画像はイメージ
「エンジンオイルも空になっていなかったので焼きつきも起きておらず、無事エンジンがかかりました。
レッカーの人にお礼をしようとしたら、エンジンオイルの実費分しか請求しないと言ってくれるほど親切な方でしたので、せめてものお礼に少し多めに払ってきました」(T麻さん)

その後、T麻さんは安全運転をしてなんとか夜中には自宅にたどり着く事ができたという。

「妻と二人で『今日は一歩間違ったら死んでいたかもしれないし、車は廃車だったかもしれない。でも色んな奇跡が繋がって無事家に帰る事が出来た。なんて素晴らしい一日だったんだろう』と感動したのを、今でも鮮明に覚えています。
後日最初に車を止めてくれた人にはその場では何も出来なかったので、地元の食材や名産などを送っておきました」(T麻さん)

「忘れられない旅先でのエピソード」、教えて!

コロナ禍で旅行に行きづらい今、せめて過去の旅行の素敵な思い出を振り返りたいという人も多いだろう。

そこでJタウンネットでは読者の皆様の「旅先のほっこりエピソード」を募集したい。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、旅行に行った時期・場所、具体的なエピソード(どんなことにほっこりしたのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

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