「橋のど真ん中でコンタクトレンズを落とした私。這いつくばって探していると、どんどん人が集まってきて...」(埼玉県・50代女性)
コンタクトレンズを使用している人にとって、「どこかに落としてしまう」というのは厄介だ。
レンズがないと何も見えない、という人には特に一大事。視界が悪い中、小さくて透明なレンズは見つけにくい。
家の中ではなく屋外だった場合は、さらに大変だ。風に飛ばされてしまったり、通行人に踏まれてしまったりする恐れもあるだろう。そうなると、見つけるのはまず不可能に近い。
そんな絶体絶命の状況で、親切な人がレンズを探すのを手伝ってくれたら......。
Jタウンネットが、皆さんの思い出に残っている「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集したところ、埼玉県の50代女性N原さん(仮名)から、そんなエピソードが寄せられた。
彼女は20代の時、広島市に住んでいた。
友達と外を歩いていたら、強い風が吹いてきて、片方のコンタクトがどこかに行ってしまったという。
探すうちに、だんだん日も暮れてきて...
「友人と2人でお茶した後、ぶらぶら歩く帰り道でのことです。平和公園の元安橋を渡りかけた時に強い風が吹き、あっ!と思った瞬間に片方のコンタクトレンズが外れて落ちてしまったのです」(N原さん)
「どうしよう!」と焦ったN原さんは、その場でしゃがみ込んで必死に見回すも、レンズは見つからず。
「友人も一緒に探しながら、『ないね』、『小さいし見つからんかも』『風で飛んでしもうたかね』などと話しながら這いつくばっていました。
すると、通りがかりの人が『どうされましたか?』と声をかけてくださいました」
N原さんが事情を説明すると、その通行人は「それは大変ですね、手伝いましょう」と言って、一緒に探してくれたという。
しかも、N原さんたちを手伝ってくれたのはその通行人だけではなく......。
「さらに、そこに歩いてきたカップルが『大丈夫ですか?』と声を掛けてくれました。事情を話すと、そのカップルも一緒に探し始めてくだいました。
私はといえば、見知らぬ方々に親切にして頂きありがたいやら恐縮やらで、『もう少し探して無かったら諦めます。日も暮れてきたし、もうほんとに申し訳ないので』と、お礼の言葉と共に伝えましたが、皆さんはそれでも探し続けてくださいました」
もう見つからないかもと思いつつ、「手伝ってもらっている以上見つけないことには切り上げられない」と、N原さんも必死に下を向いて探し続けた。そして、ついに......。
「突然大きな声で『あったぁ!!』と声が上がりました。 見ると、学生さん風の方が橋の袂で片手を上げてすっくと立ち上がっておられたのです。
『わあーー!』と歓声が上がり、私が気づくと周りには10人くらいの方が拍手しながら笑顔でした。行き交う人の中、橋の上でしゃがみ込んだ姿を見て、通りがかりに立ち止まった方々がいつの間にか次々と一緒に探してくださっていたのです」(N原さん)
ようやくコンタクトレンズが見つかった時には、辺りはすでに日が暮れ、街頭の明かりが灯っていた。
「通勤通学の帰り道の方、観光客らしき方......探してくれた皆さんに、橋のど真ん中で大声でお礼を言いつつ、何度も頭を下げながら感謝で胸が一杯な私でした。
以来、誰かが困っている様子に出会ったら躊躇なく声を掛けています。
私のありがとうの気持ちは、今も続いています」(N原さん)
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
そこでJタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集したい。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※なお本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)