「各駅停車を乗り継いで貧乏旅行。お金がないので野宿しようとしたら、地元民に『バカヤロー!』と叱られ...」(栃木県・50代男性)
旅行先では、ホテルや旅館に宿泊することが多いだろう。
だが、急な旅程の変更があったり、あるいはシンプルにお金がなかったりしたら、最終手段として「野宿」という言葉が頭に浮かんでくる。
そんな時、親切な現地の人が「うちに泊まっていきなさい」と声を掛けてくれたら......。
コロナ禍でなかなか旅行に行けない今、かつての楽しい思い出を振り返ろうとJタウンネットが「旅先でのいい話」を募集したところ、栃木県の50代男性S則さん(仮名)から、まさにそんなエピソードが寄せられた。
それは今から30年も前、S則さんが静岡県に旅行に行った時の話だ。
東京から各駅停車を乗り継ぐ貧乏旅行で、現地に到着した時はすでに夜になっていた。
当時学生で宿に泊まるお金もなく、野宿で済ませようとしていると......。
「馬鹿みたいな事言ってるから連れて来た!」
「静岡県で『5年に一度現れる幻の池』が現れる、という新聞記事を見て、翌日に記事にあった最寄り駅目指して出発しました。が、お金もなく各駅停車を乗り継いで行った為、到着は夜になってしまいました」(S則さん)
S則さんが到着した日はちょうど、その地域の祭りの日だったという。 駅を降りて早速野宿先を探していると、祭りに集まっていた地元の人たちが声をかけてきた。
「本当にあちらこちらから『飲んで行け!』とお誘いを受け、ご馳走になりました。
その中で『幻の池』の話を聞くと『今朝◯◯さんが行った時にはもう無くなってたって言ってたぞ』との事でした」(S則さん)
目的であった「幻の池」がすでに無くなっていたと知り、S則さんは意気消沈。そんな彼に、地元民たちは「アンチャンは今夜、どこに泊まるの?」と尋ねた。
S則さんが返したのは、「野宿を予定しています」という答え。すると、地元民たちは口々に、
「バカヤロ~!」
と彼に言い放った。
「山の明け方をなめるなよ、凍死するぞ!」
そう、東京から来たS則さんに忠告してくれたのだ。
「そして、その中の一人の方が舌打ちしながら『付いて来い!』とおっしゃり、ズイズイ歩いて行ってしまいました。
おずおずと付いて行くと、お家の前で『ただいまぁ~。母さん、東京の学生さんが池見に来たらしいんだけど、今夜野宿するとか馬鹿みたいな事言ってるから連れて来た!今晩泊めてあげて!』と」(S則さん)
訳も分からぬまま、S則さんはその人の家で風呂を勧められ、湯上がりに冷えた梨までご馳走してもらい、暖かい布団で休ませてもらったそうだ。ぶっきらぼうな態度とは裏腹に、至れり尽くせりなおもてなしだ。
「そして翌日の朝、目を覚ますと先のご主人が町内を回って池の写真を探して下さり、記念に......と言ってくださいました。
聞けば、元学校の先生をされていた方だそうで、帰宅後にお礼状を出すと『東京の学生の中にも、こんな礼儀正しい学生さんがいた事を嬉しく思う』というお返事までいただきました。
昔は、こんなエピソードに溢れていましたよね?」(S則さん)
「忘れられない旅先でのエピソード」、教えて!
コロナ禍で旅行に行きづらい今、せめて過去の旅行の素敵な思い出を振り返りたいという人も多いだろう。
そこでJタウンネットでは読者の皆様の「旅先のほっこりエピソード」を募集したい。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、旅行に行った時期・場所、具体的なエピソード(どんなことにほっこりしたのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。