あふれ出す実家感... 博物館で再現された「団地の暮らし」がリアルすぎて、今にも誰かが帰ってきそう
松戸市立博物館(千葉県)の展示が、「再現度が高すぎる」とツイッターで注目を集めている。
いったい何を再現しているのかというと......「団地」だ。
松戸私立博物館の団地の展示、執念を感じるほどの再現だった。 pic.twitter.com/LSafHtLdO1
-- 平田朋義 (@tomo3141592653) July 11, 2021
話題のきっかけとなったのは、2021年7月11日、ツイッターユーザーの平田朋義(@tomo3141592653)さんが投稿した写真。同館で展示を楽しんだ際に、撮影したという(展示は撮影可能)。
リビングから台所、その入り口に至るまで団地での生活が再現されている。
室内には黒電話やブラウン管テレビ、リビングの机の上にはスイカとオレンジジュースが置いてあり、ガスコンロにはヤカンが。
誰かの自宅にしか見えない生活感あふれる光景に、ツイッターでは
「住人の声が聞こえてきそうな展示」
「夜になったら帰ってくる人いそうな生活感」
「老親を連れてってあげたいな~懐かしがると思う」
「博物館だって!?!? 子供の頃に住んでいた社宅の団地かと思った」
「夕方になると良い匂いがする、古き良き昭和」
といった反響が。
この展示はいったい何なのか。Jタウンネット記者は13日、松戸市立博物館を取材した。
1960年代の「常盤平団地」を再現
松戸市立博物館によれば、この「団地」は同館に常設されている。
「都市のあゆみ」として松戸市の歴史を紹介する展示の中の、最後の部分。「現代の生活」をテーマに作られたものだという。
「戦後の松戸市の現代史において、一番大きな出来事といえばほとんど農村だったものが住宅地になったことです。
その内の最初の、そして代表的な開発が1960年に入居が開始されたこの『常盤平団地』なので、こうして展示しています」
松戸市東部にある常盤平団地は、日本住宅公団(現在のUR都市再生機構)が建設した初期の団地のひとつ。総戸数5000戸近くの大規模団地だ。
「当時、この団地に住んでいた人たちはそのころの最先端の生活をしていた方が多いです。テレビや冷蔵庫、洗濯機といった家電製品は、その後すぐに普及するのですが、この団地で暮らす人たちはそれらを一番早く使っていた、とされています。
また、住宅もガス風呂や水洗トイレ、スチールサッシ、シリンダー錠といった当時では最先端の設備がありました。住宅と、中身の生活ともに、当時としては非常に新しいものだったのです」
この展示では、その当時の最先端の暮らしの様子をこだわって再現しているそうだ。
季節によって変化も
また、この展示は季節によって少しずつ変化をしているそう。
「季節に合わせた生活を展示することで、お客様に楽しんでいただければ」
今は夏なので、リビングのテーブルの上にスイカとオレンジジュースが乗っており、扇風機が出ているが、冬になればストーブが、またクリスマスにはケーキが出るなど、時期によって違う姿が見られる。
この季節感を楽しみにしているという来場者も多いそう。
そういった点も含め、とてもリアルに当時の人々の暮らしを体感できる展示なのだろう。
ぜひ何度も訪れて、さまざまな生活の断片を覗き見てみたい。