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巨大な松が屋根をブチ破っている... 樹齢450年、雲南市にそびえる「浪花家の大松」はなぜこうなった?

福田 週人

福田 週人

2021.06.15 20:00
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あの伊能忠敬も見上げていた?

Jタウンネット記者は15日、この大松を管理している浪花酒店にも取材した。取材に応じた同店店主は、この松の概要や由来についてこう語った。

「こちらの松は『浪花家の大松』と呼ばれていて、樹齢は約450年、樹高は約12メートル、枝の全長は約25メートルです。
1688年、かつて雲南市にあった三刀屋城の城主に仕えていた土屋家という一族が、同城没後に旧木次町で造り酒屋を創業したのですが、その際にこちらの松を同家のお屋敷の門掛けの松(門などの横にある、枝の一部が横に広く伸びていてその下を通れるように剪定された松)としたとされています。
なので、以前は『土屋家の大松』と呼ばれていました」(店主)

ちなみに、江戸時代後期の1813年11月には、本格的な日本地図を創ったことで有名なあの伊能忠敬の一行30人が土屋家の屋敷に止宿したという記録もあるそうで、「彼もきっとこの松を見上げていたことでしょう」とのこと。

そして、時は流れて1896年、同地で酒屋を創業した浪花家がこの大松を所有することとなり、以来「浪花家の大松」と呼ばれるように。

「浪花家の酒屋は1943年に企業整備のため廃業したのですが、その後も小売り酒販業に転業して店を続け、現在に至っています。
その間、浪花家の当主が代々松の手入れを続けてきました。また、50年ほど前からは加茂町にいる庭師さんにも依頼して、手入れをしてもらっています」(店主)

また、松が家の中から飛び出すような格好で生えている理由について、店主は、

「松が生えている家はうちの店が貸し家にしているものでして、正確な時期は不明ですがずいぶんと前にお店を開くためにここを借りた人から、建物をもう少し広げたいとの声があったそうです。もちろん、この松を切り倒して敷地を確保するわけにはいかないということで、結局松の周りを囲むようにして増築したことでこういった形になり、今に至るということのようです」

と説明した。

なかなかにすごい経歴だった
なかなかにすごい経歴だった

ツイッターでの反響について、浪花酒店の店主は、

「こうして有名になってくれることはありがたいです。これをきっかけに、雲南市に足を運んでくれる方が増えてくれればうれしいですね」

と述べた。また、冒頭の写真を投稿した道民の人さんも、

「島根県、ひいては雲南市周辺部の地酒は非常に品質がよく、浪花酒店さんでも販売されております。木次の街並みはこの他にも明治時代から続く木造旅館など、風情のある建物やスポットがたくさんありまして、私も訪問した際は実際に浪花酒店さんでお酒を購入したほか、この日の宿にもしました。
この投稿をきっかけに、なるたけ地元の情報が多くの方に届き、実際にこの場所を訪れる方が増えて、そして街の経済に還元されたらいいなあと思います」

とコメントしている。

実に戦国の世から生えている「浪花家の大松」が見守る雲南市。

実際にこの大松を見に、あるいは地酒を楽しみに、コロナが落ち着いたら皆さんもぜひ一度、訪れてみてはいかがだろうか。

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