切り込みを入れると「包丁を研ぐ音」が... 「食用土」使ってパイを作った猛者現る
「今夜は土入りミートパイを作ります」
2021年5月29日、あるツイッターユーザーのそんな実況ツイートが注目を集めた。
土入りミートパイ......。響きからして強烈だ。
投稿者は、愛知県でレトロゲームをモチーフにしたバー「GENESIS」(現在休業中)を営むツイッターユーザーのミートスパ土本(@mouosaegakikan)さん。
「食用土届きました。圧倒的土
ほんとに食品?て思うけど賞味期限が書いてあるから食品だと思う」
というコメントと共に、土本さんがツイートしているのがこの画像だ。
小さな紙袋には「賞味期限」のラベルが貼られている。
また、その下のバーコードラベルのところをよく見てみると、
「Blue natural edible clay」
とも。日本語にすると「青い天然の食用粘土」、ということになるだろうか。
粘土は、水を加えると粘性が高くなり、熱を加えると固くなる性質の土の総称。紛れもなく土である。
中身も、普通の粘土にしか見えない。だが、投稿者の土本さんの言うように、賞味期限が書いてある以上は食用なのだろう。
細かく砕いてパイの中に
土本さんは、この食用土を大豆ほどのサイズに細かく砕いて、ミートソースをベースとしたパイの具の上に振りかけたそう。
焼く前のミートパイに切り込みを入れたところ、
「包丁研ぐのと同じ音がした」
とツイートしている。
焼きあがった土入りミートパイは、ごく普通のミートパイと変わらない仕上がりだ。
断面図を見ても、特に土らしきモノは確認できない。こんがり焼けて、おいしそうだ。
土本さんは実際にこのパイを食べ、
「ミートパイおいしい!うまい!サクサクジューシー!からの圧倒的土」
と感想を呟いている。
6月1日、Jタウンネット記者は投稿者のミートスパ土本さんを取材し、詳しい話を聞いた。
「口に土が残る以外は普通です」
ミートスパ土本さんが「クックパッド」に投稿している「土入りミートパイ」のレシピによると、パイに入れて焼く前の粘土は「ポリポリした食感がピーナツの様との説明ですが口溶けは皆無なので圧倒的に土の食感」。
これを調理すると油と水分を吸って食感が変化するそうで、
「思ったより食材っぽい
粘土がいける人は気にならないところまで来てると思う」
としていた。
どうして今回土を食べてみようと思ったのか。早速、本人に尋ねると
「実食レビューや土料理のフルコースを出すお店などは見ていたので土食はいずれやってみたいなと思っていました。
というのもメギド72というソシャゲ内で推しのキャラがイタズラで土入りのミートパイを食べさせられる描写があり、同じようなものを食べて体の組成を近づけたいという思いがあったからです」
と語る。
なるほど、なぜわざわざ土をミートパイに......と思っていたが、好きなゲームの推しキャラを倣ってのことだった。
「土入りミートパイ」制作のコンセプトは、そのゲームに登場する「料理人キャラ」の気持ちになりきること。
そのキャラクターならば「土を感じさせつつ、うまい土入りミートパイを作るのでは」と考え、パイ作りを行ったそうだ。
土本さんは
「食べられるレベルで土をきちんと主張させるにはどうするか、土入りミートパイとは何か? を考えながら調理しました」
とこだわりを明かす。
そんなこだわって作った土入りミートパイを食べた感想を、改めて聞いた。
「口に土が残る以外は普通です。臭みもなく食感も新しいな、という感想でした。
ただ販売されてる食用土は本来水に溶かしてデトックス的に使用するようなので、料理に混ぜ込むのは推奨されてないかもしれません。
2回ほど食べてみましたが心なしか歯の表面がざらつくような感触があります。咀嚼しているうちに摩耗するのかもしれません。
食品加工するならもっと高級な粒子の細かいものを選んだほうがいいと思います」(ミートスパ土本さん)
ちなみに土本さんは200グラムで1599円の食用土をAmazonで購入。
100グラムは約800円となり、スーパー等で販売されている一般的な豚肉や鶏肉よりも高級品である。
土本さんは今回のミートパイを踏まえ、今度は
「ガラスの仮面で北島マヤが食べさせられた泥饅頭を作る予定です」
と述べた。