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標準語では説明できないので、道民が「あずましく」なくなってしまう方言

井上 慧果

井上 慧果

2021.05.15 11:00
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「あずましくない」は道民の気質と結びついている?

気持ちがいい=あずましい?(画像はイメージ)
気持ちがいい=あずましい?(画像はイメージ)

さらに詳細を調べていくと、北海道教育大学学術リポジトリで北海道教育大学元教授の夏井邦男氏の「北海道方言の語志的研究から:『アズマシクナイ』という言葉」という文献(01年)を見つけた。

それによると、「あずましくない」という言葉は、東北由来のもの。青森等では「あずましい」と肯定の形で用いられることが多いが

「北海道では打消しの語を伴って用いる傾向が強い」

との一文もあった。

夏井氏が01年12月に同大学の1年生を中心とした61名の学生を対象に行った調査で、「あずましい」を知っている35人の生徒のうち23人が「アズマシクナイ」という形を使っていたという。

その傾向について夏井氏は、

「ゆったりと広々とした大地のように、くつろいだ快適な状態にあることをよしとする北海道人の気質と結びついたのが、まさにこの否定の語系であったと考えられる」

と分析している。

今回編集部に投稿をよせた男性も、「あずましくない」は使うが、「あずましい」は使った覚えがないとのことだった。

のんびりとしたことを特に好む北海道人にとっては、「あずましい」ことが普通で、「あずましくない」ことは異常となり、結果としてこの否定形の方が多く使われているのかもしれない。

この「あずましい」「あずましくない」という言葉について、ツイッターでも調べてみた。すると、

「暖かくてあずましい」
「最高に素敵であずましいお店でした?」
「静かであずましい」
「あずましくない天気ですが頑張っていきましょう!」
「腕時計の電池が切れてた あずましくない」
「あずましいの意味が上手く説明できなくてあずましくない」

と北海道や東北地方出身と思しきユーザーたちが、実際に使用している様子が見られた。

地元民たちのツイートを見るだけでも、「あずましい」「あずましくない」シチュエーションはさまざま。

細かなニュアンスは、使用地域でしか伝わらないところが、まさに「標準語では説明できない方言」ではないだろうか。

あなたの地元の「標準語で説明できない方言」教えてください

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、あなたの地元と、そこで使われている「意味が限定的すぎる方言」または「標準語にするのが難しい方言」、その使用例(200文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

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