「ずくだせ」「なから終わり」... 標準語では意味が説明できない方言【長野編】
「えっこの言葉って標準語じゃないの?」
地元では当たり前に使っていた言葉が実は方言だった...というような経験をしたことがある人も多いのではないだろうか。しかも、その方言の意味を伝えようと思っても、標準語では表現できない...なんてこともあるだろう。
そんな「標準語では説明できない方言」は、日本各地に存在しているらしい。
Jタウンネットでは、そんな方言について情報を募集している。
今回は全国から届いている投稿メールの中から、長野県の「標準語では説明できない方言」を紹介していく。
「ずくがある」「ずくなし」
1つ目は、長野県松本地方出身の40代女性からの情報。
投稿者によれば
「私の出身地で使われている『標準語にするのが難しい方言」は『ずく』です。
『ずくがある』『ずくなし』のように使用し、『ずくがある』とは『ちょっとしためんどくさいことでもコツコツ取り組む様子』、『ずくなし』とは『めんどくさがってちょっとした手間を省く様子を言います。
ゴミ箱まで行くのをめんどくさがってゴミを投げる様子を見て『ずくなし』と言ったり、根気のいる作業(たとえば小さいピースのジグソーパズルに黙々取り組む様子)をみて『○○ちゃんはほんとずくがあるねー』などといいます。なかなか単純に標準語変換するのは難しいです」
ずくがある...。神奈川県出身の筆者は初めて聞く単語だ。しかし、調べてみると長野県のローカル局、信越放送では平日の昼に「ずくだせテレビ」という番組を放送しており、地元ではかなり馴染みのある言葉らしい。
この「ずく」についてはツイッターでも
「ずくがあるうちに料理しないとやらなくなりそう(長野県民並感)」
「長野の人は『ずくなし』を標準語だと思ってるきらいがある。」
「長野でね、面倒臭がりの人のことを『ずくなし』っていうの。だからね、面倒臭がってる人を見たら、『ずく出せ』って励ましてあげてね」
「『ずく』 ヤル気、集中力、根気を意味する。
disり自虐がまろやかになるから長野県民としては広くオススメしたい」
といった投稿が散見され、長野県内で広く使われているようだ。
人によって程度が違う「なから」
続いては、長野県佐久市の50代男性からの情報。
投稿者によれば
「なから
意味は『ほぼ』と『だいたい』のあいだくらい
用例は『この作業はなからおわってる。』(この作業は、ほんの少しの作業を残して終わっている)」
とのこと。「ほぼ」と「だいたい」の間ぐらいの意味で使われているというこの「なから」について、ツイッターを見てみると
「長野に『なから」という方言があります。おおよそとか、だいたいという意味です。個人差があり結構アバウトですが、私は70%くらいの感覚で使っています」
「なからお洗濯終わり!なからって長野の方言らしいのですが...そうなの?」
「長野には、なからという便利な方言がある
明日授業の後どうする?んー、飯食ってからなからで!
決める事を後に回したり、決めなくてよくなる魔法の言葉」
といったつぶやきが。
どの程度のことを「なから」と言うかは、使う人次第らしい。そうなるとますます標準語で説明するのは難しい...。
また、
「『なから』って新潟だけの方言かと思ったら,長野でも使うのね」
「『なから』は群馬弁で『とても』とか『すごく』っていう意味です」
というツイートも。新潟では似たような意味で、また群馬は若干違った意味で「なから」は使用されているとのことだった。
死ぬほど疲れたときは...
最後に、長野県の60代男性からの方言情報を紹介する。
それは「ごしたい」という言葉。疲れた、という意味らしい。
投稿者によれば
「『あーごして!』とか『ごしてー!』とか言わないと本当に疲れた感じが表現できません。モノが古くなって使用に耐えなくなりそうな場合にも『これはだいぶごしたいね』などと使用します。あと、ボロいモノを『おぞい』と言います」
とのこと。人間が疲れたときだけでなく、物が疲れたときにも使用するようだ。
ツイッターを見ると、
「長野県諏訪地方では死ぬほど疲れたことを『ごしたい』って言うんだけど、『ごしたい』以外に的確な言葉がわからなくて、『じゃあ、死ぬほど疲れたことをなんて言うの?』って訊いたら『...死ぬほど疲れた...だよ?』って言われたことを思い出した」
「『疲れた』より、もっと心の底から気持ちを込めた感じなのが『ごしたい』なんですけど、南信だけなんだぁ」
との投稿も。
どうやらこの方言が使用されている長野県南部の地域では、「ごしたい」でないと心底疲れたという意味は表現できないようだ......。
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