千葉市美術館の中に「せんべろ居酒屋」があった なぜそんな場所に?市の担当者に聞いた
美術館に併設されている飲食店といえば、多くの場合カフェだろう。
展示を楽しんだ後に、ミュージアムカフェでほっと一息つくのは至福の時間だ。
しかし、2020年7月1日にリニューアルオープンした千葉市美術館は一味違う。
同館の地下には現在、こんなお店がオープンしている。
刺身にビール、そして升がヒタヒタになるほどたっぷりと注がれた日本酒。そう、居酒屋である。
どこか居酒屋らしくないコンクリート打ちっぱなしの壁には、「甲子正宗」「木戸泉」「腰古井」...といった地元・千葉の酒の銘柄がずらり。
同館では千葉市や房総ゆかりの作品も収集しているため、千葉の風土で生まれた美術を鑑賞した後、地酒を堪能できるというわけだ。
20年10月11日、同館を訪れたツイッターユーザーの黒織部(@kurooribe)さんは、写真とともにこう呟いている。
「千葉市美術館、地下に居酒屋ができてさらによくなってしまった」
なぜ美術館に居酒屋ができたのか。Jタウンネット編集部は30日、同館を管理運営する千葉市文化振興課を取材した。
毎日訪れる近隣住民も...
この店の名前は「酒彩亭 盛」。
千葉市文化振興課の担当者によると、20年9月26日、千葉市美術館の地下1階にオープンした。美術館内の飲食店として、居酒屋(フロアマップでは「バル」と表記)が選ばれた理由を尋ねると、
「美術館のリニューアルにあたり、イベント等に関わらず人々が集えるなど、地域コミュニケーションの場として、地域に開かれ、地域の賑わい等を牽引する施設になることを目指し、カフェ等の設備と併せて誘致いたしました」
と担当者。
「酒彩亭 盛」を運営するのは、千葉市で寿司・和食を提供する「優雅亭 盛山」を営む山盛という会社。本店が寿司屋だけあって、「盛」でも刺身が自慢の品だという。
それ以外にも、もつ煮や唐揚げ、ポテトサラダと言った居酒屋の定番メニューや小鉢に入ったおつまみも用意されており、価格はいずれも200~400円(税込)。
同店では、商品と引き換えに、その都度料金を支払うキャッシュオンデリバリーの形式を取っており、食べ終わった後も客自身がセルフサービスで皿を片付ける。そのため、人件費を削減でき、安価でメニューを提供できるそうだ。
ドリンクは、千葉の地酒や地ウイスキーのほか、生ビール、焼酎、客がセルフで割って作るサワーなどが用意されており、「せんべろ(1000円でべろべろに酔えること)」の居酒屋だ、と担当者。
利用者の反応を聞いてみると、
「とにかく『安い!』とみなさまおっしゃいます。若い方も来店され、美味しかったと好評です。また、近くにお住まいの方のなかには、毎日のように来店される方もいらっしゃいます」
とのこと。実際に利用したツイッターユーザーの黒織部さんにも感想を聞いたところ、
「気軽なちょい呑みスポットという感じなので、展示を見た余韻にひたりながら軽く1杯飲めるのはいいですね。また使うと思います」
と教えてくれた。