「善意でもやめて...」 破れちゃった図書館の本、セロハンテープで修復すると大変なことになるらしい
図書館で借りていた本を破いてしまった――
そんなとき、皆さんはどうしているだろう。
少しだけだから、とついついセロハンテープで補修をしてしまったりしていないだろうか。
実はそれ、本のことを思うのであれば、決してやってはいけない行為なのだという。
「図書館で借りた本は、セロハンテープで直してはいけません」
図書館用品や家具、設備、また図書館のプロデュースなどを営む規文堂(京都府京都市)が2020年9月17日、同社の公式ツイッターでそんな呼びかけをし、話題となっている。
投稿によれば、セロハンテープで本を修復してしまうと経年劣化で「大変なこと」になってしまうらしい。
そのため図書館では本が破れた場合、専用の補修用品で本を修復しているとのことだ。
規文堂はこれに続ける形で
「図書館の現場でよく聞く声なので、発信していきたいな、と思いました。
書籍は、図書館や利用者にとっての財産なんです」
とも投稿している。
規文堂の訴えに対し、ツイッターでは
「学校図書館ボランティアの立場からも、これまで機会があれば保護者に向けて発信してきました。セロハンテープが貼ってあると、剥がす手間から大変な作業ですし、本が傷むのが悲しいです」
「経年劣化......パリッパリになったテープ......変色してしまったページ......いつ見てもツラいですし、善意だとしても、『やめてぇ......』ってなります」
「たまにめちゃめちゃ破れたのを丁寧に何枚も何枚もセロハンテープ貼って来てくれる人いるけど劣化するからダメだよ...(元図書館勤務)」
「セロテープ貼られてひどい見た目になった本とか学級文庫に有ったよね...?」
と現場からの声をはじめ、様々な反応が寄せられている。
「もっと広めていかなければならない」
Jタウンネットは18日、規文堂を取材し、企画部部長の東郷拓真さんに話を聞いた。
早速今回、本の補修についての呼びかけを投稿した経緯を尋ねると、東郷部長は
「本の修復をセロハンテープでしてはいけない、ということについては定期的にツイッターで話題になっているのを拝見していました。これはもっと広めていかなければいけないことで、図書館に関わる仕事をしている会社としても発信するべきだろうと思い、投稿しました。
ちょうど、最近うちで取り扱っている専用の補修用品の『ページヘルパー』の写真を撮り直したこともあり、このタイミングでの投稿となりました」
と説明する。
東郷部長によると、セロハンテープは表面のつるつるの部分と裏ののりがついた接着面の劣化年数がそれぞれ違う。そのため、のりだけが残ってしまったり、変色してしまったりするのだそう。
一方、「ページヘルパー」とは、薄くて強い特殊な加工のフィルムを使った、本の補修をするためのテープ。セロハンテープとはそもそもの成分が異なり、劣化も起こりにくいそうだ。
実際にツイッターなどを通じて、しばしば図書館で働く人たちから「セロハンテープで修復をされてしまうとそれを剥がす作業も必要となってしまい大変だ」といったような声も届いているという。
同社は、主に図書館や学校、博物館を対象に「ページヘルパー」のような商品を販売しているが、今後は一般向けへの販売にも力を入れていきたいという思いもあって今回の投稿をしたとのこと。
東郷部長は
「以前から一般の方向けにも販売はさせていただいていたのですが、今後はもっとこういった商品があるというのを広めていければと......」
とした上で、
「しかし個人でご購入いただけた場合もあくまでご自身の本を修復するのに使用していただき、図書館の本を破損してしまったときは、やはり図書館に持っていって専門の人に修復をお願いしていただきたいです」
とも語った。
というのも、「紙の種類によっては一般的な『ページヘルパー』での修復がいけない場合もある」そうだ。
本の修復は、使われている紙や状態によって対応が異なるそう。ページヘルパーにもポリエステル製のものや和紙製のものなど種類があり、どれでもいいわけではないらしい。
図書館で借りた本を破いてしまったとき、そのことを司書に言うのは気まずい......という気持ちも分からなくはない。
しかし、図書館にとって何よりも大切である本のためにも、正直に伝え、専門の人に修復してもらおう。