代替商品に「待っていて。必ず帰ってきます」 原料不漁で「青のり」休売...三島食品の粋なメッセージに反響
青いパッケージでお馴染み、三島食品の「青のり」が2020年6月末から休売している。原料のスジアオノリが不漁のためだ。
その代わりに販売されているのが、別の原料を使用した新商品「あおのり」。パッケージは青ではなく緑色だ。その裏面に記載されているメッセージが、ツイッターで話題になっている。
「三島食品が品質に自信をもってお届けしてきた すじ青のりを伝統の青いパッケージで作る事ができなくなりました。国内産地での記録的な不漁が続いた為です。
陸上養殖をふくめ原料確保につとめていますが しばらく時間がかかりそうです。
その間、今できる精一杯の青のりを準備しました。
でも待っていてください。
必ず帰ってきますから」
以前販売していた「青のり」のパッケージ写真とともに、こんな文章が掲載されている。このメッセージは、ツイッターユーザーのサガノちゃん!さん(@saga_no)が7月17日に紹介したところ話題に。20日夜現在で1万5000万件以上リツイートされている。
サガノちゃん!さんの投稿に対して、他のユーザーからは、
「会社の矜持が感じられて素晴らしいと思います」
「なにコレ信頼感高い!初めて知ったけど私も買ってみよう」
「逆に言えば期間限定の貴重なパッケージって事だ!そうだろう!?」
「三島の青のり、他のよりお高めですが、風味抜群で一度買うと戻れません。がんばれ!!三島さん!!!!!」
といった声が寄せられている。
「青のり」と別商品した理由は?
三島食品はなぜ「あおのり」の発売に至ったのか。Jタウンネットは7月20日、三島食品の広報担当者を取材した。
三島食品の公式サイトによれば、「青のり」の原料・スジアオノリは青のり類の中で最も高級品。「あおのり」の原料であるウスバアオノリとヒラアオノリに比べ、香り豊かでなめらかな食感だという。
担当者によれば、「これまでもの青のりを長く使われている方なら、微妙な味の違いを理解されるかもしれない」とのことだ。
従来の「青のり」と別商品にした理由を聞くと、
「長くから購入されて『青のりが好きだ』というファンの方もいらっしゃいますので、間違わないようにという意味で別商品にしました。また今回変えたのがパッケージの色と商品名ですが、問い合わせがあったときにどちらをお持ちなのかがすぐ分かる、という点もあります」(三島食品・広報担当者)
1971年に発売され、来年で50周年を迎える「青のり」が、市場からなくなるのは今回が初めて。出荷は停止したが、店舗によっては「青のり」の在庫を販売しているところもあるという。
パッケージの裏面にメッセージを記載したことについては、
「原材料の品質維持と安定供給を自らの手で確保する取り組みを行っているので、それをお伝えしたいという意味で記載しました」(三島食品・広報担当者)
とのこと。三島食品は高知・室戸にある陸上養殖施設と徳島・吉野川でスジアオノリを収穫してきたが、6月からは広島・走島でも新たに養殖を開始している。
収穫量は5年で10分の1
担当者によれば、スジアオノリは5年以上前から収穫量が減り、19年度の収穫量は15年度の約10分の1になった。三島食品の調査によれば、平均落札価格も同期間で5.5倍に上昇している。
収穫量の減少に伴い、「青のり」はもともとあった5グラムや8グラムなどの商品を段階的に減らし、最終的には2.2グラムのみを販売。その2.2グラムの「青のり」も6月をもって出荷停止、新商品「あおのり」が7月から発売された。
スジアオノリの不漁の原因について、担当者は、
「原因ははっきりしていませんが、一番よく言われるのは海水温の上昇ですね。冬に収穫されるものなので、ある程度冷たい水が必要なのですが、それが高くなってきています。
それともう1点、アオノリは川と海が混じり合う汽水域で作られます。水害があるといけないので川の護岸工事をしますが、それで山の栄養分が川に流れにくくなるのではないか、と言われています」
と説明する。
新しい養殖施設も活用し、1年から1年半後には「青のり」の再販を目指すとのこと。「あおのり」のパッケージがツイッターで話題になったことについて、担当者は、
「どれを読んでも『応援している』というお声が非常に多く、大変心強く、嬉しく思っております。これを励みに養殖を頑張っていきたいと思っています」
としている。