ベートーベン「ここは私の席です」 クラシック好きにはたまらない...音楽ホールのコロナ対策に反響
2020.06.16 06:00
「少しでも気持ちが和らぐようなものを」
Jタウンネットは15日、岡山シンフォニーホール館長の高次秀明さん(注・高ははしごだか)に詳しい話を聞いた。
高次さんによれば、作曲家たちの似顔絵を貼ったのは6日ごろ。13日に大ホールの使用があったため、それに向けて制作したという。
高次さんは作曲家の貼り紙を作った経緯について、次のように話す。
「こういった状況でパフォーマンス業界がいろいろ試行錯誤している中、どうやったら活動を再開できるかということを考え、5月末からまとめ始めました。我々はオーケストラ(岡山フィルハーモニック管弦楽団)も持っており、秋以降に演奏会をやりたいという思いがあります」
音楽団体のイベントは3月以降、軒並みキャンセルに。ステージ上の「密」を避けるため曲目変更が間に合わず、中止になった演奏会もある。
貼り紙に作曲家たちの絵を描いた理由については、
「距離の推奨値は2メートルなので、1席空けて前の人と被らないようにしました。その際に職員が『この席は座れません』と貼り紙を印刷しているのを見て、ちょっとそれは無粋だろうと。
コンサートホールなんだから作曲家の顔写真でも貼ったらと。こんな状況なので、お客さんがニヤリとするような、少しでも気持ちが和らぐようなものを考えました」
とのことだ。
イラストは絵の上手な職員が描き、文面は高次さんが考えた。すでに貼られているのはベートーベン、バッハ、モーツァルト、ブラームス、ヴェルディ、の5パターンで、現在はシューマンを制作中。13日のイベントは講演会だったが、来場者からは「和んだ」との声があったという。
高次さんによれば、よほど状況が好転しない限り、チケットは21年3月末まで通常の半数にあたる1000席(全2001席)で販売する。貼り紙は今後しばらく続ける予定だ。
高次さんは今回のコロナ対策が話題になったことについて、
「思いのほか反応が多くあり、僕らにとっても励みになりました。イベントの開始を皆さん待ち望んでらっしゃるんだなと。演奏会を1日も早くスタートするのが僕らの指名かなと思います」
としている。