「宿題やりたくない」「しねばいいさ」「えっ」 庄内地方ではこれが普通の会話らしい
「しね」というのは、「しない」という意味
庄内地方は、山形県の日本海沿岸地域で、庄内平野を中心とした日本有数の稲作地帯だ。古くから海運による交流が盛んで、北前船交易などで繁栄した酒田港が名高い。江戸時代は庄内藩と呼ばれており、城下町・鶴岡と、商人の町・酒田が、二大都市とされている。
映画「おくりびと」は、庄内地方をロケ地としていた。酒田市や近郊の美しい風景に目を奪われた人もいるかもしれない。鳥海山を背景に、主演の本木雅弘がチェロを弾くシーンは、まさに圧巻だった。
日本海の海の幸と、庄内平野の農産物に恵まれた、美食の地としても知られている。
酒田市立資料館は、酒田市の考古、歴史、民俗などの資料を収集している。担当者は、こう答えた。
「『しね』というのは、『しない』という意味で、『さね』とも言います。『しねばいいさ』とか『さねばいいやんね』とか、よく使う表現で、くだけた言い方ですね。
身近な人や子供たちに対して使うことが一般的で、目上の人に使うことはあまりないと思います。『しない方がいいよ』『しなければいいじゃない』といった意味でしょうか」
「庄内方言辞典」(東京堂出版)というという本があるそうで、その中にも『しね』は記載されているとのこと。現代の若者たちにもごく自然に使われているそうだ。
仮に、あなたが庄内の人に出会ったとして、「しねばいい」と言われたとしても、けっして驚いたり、悲嘆にくれたりすることはない。庄内方言で、「しない方がいいよ」という軽い忠告のつもりかもしれないからだ。
もし標準語で言ったとしたら、話は別だが......。
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