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「食べ物で遊ぶな」は誉め言葉 本物にしか見えない「角煮ジェンガ」がまさに職人技

横田 絢

横田 絢

2019.11.29 17:00
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「角煮のジェンガです」

2019年11月20日、ツイッターユーザーのRokusan(@Yoikohyakka)さんは何層にも積み重なる「豚の角煮」の写真に、その一言を添えてツイートした。

味がよく染みていそうなお肉と、脂身のツヤが食欲をそそる。

ジェンガのブロックのように長方形にカットされた豚バラ(多分)が積み上げられた角煮のタワーは、ところどころ食べられたのか穴あきだ。

それでも絶妙なバランスで直立を保つタワーからまた一切れ、肉が抜き取られようとしている、まさにその瞬間をとらえた写真には、

「できそうな感じあるけど本当にできるんだ」
「すごい!CGかと思いましたw」
「おもしろ楽しく食事できて皆笑顔!」

など感心する声が寄せられると同時に、

「美味しそうだけど食べ物で遊ぶのはちょっと」
「...凄いんだが、食べ物で遊ぶのは如何なものかと」

と投稿者を咎めるリプライも目立った。

Rokusanさんがこの写真を撮影したのは、東京スカイツリー(東京都墨田区)の根元、東京ソラマチの中にある食品サンプル店「元祖食品サンプル屋」。

そう、この角煮のジェンガ、食品サンプルなのだ。

ショーケースの反射が湯気っぽくも見える...(写真はRokusanさん提供)
ショーケースの反射が湯気っぽくも見える...(写真はRokusanさん提供)

確かに、写真をよく見るとショーケースの中に入っていることがわかるが、多くの人がすっかり騙された。白状すると筆者もその一人で、「どうなっているのだろう......」としばらくの間写真を見つめてしまった。

作品が本物に間違えられると、食品サンプルの作者はやはり嬉しいものなのだろうか。

Jタウンネット編集部は28日、製作者に話を聞いた。

夕食の角煮を見て...

角煮のジェンガの製作者は、「元祖食品サンプル屋」を運営する老舗食品サンプルメーカー・岩﨑の製作技術者。多くの人が角煮のジェンガをみて本物だと信じてしまったことについて聞くと、

「食品サンプル好きな人のリツイートから私も知って、ビックリすると共にリツイートといいねしてしまいました。そして多くの方から驚きを感じて頂き製作したわたしも大変嬉しく思っております」

と喜んでいる様子だ。

なぜ角煮をジェンガにしてみようと思ったのか聞くと、

「食卓に並んだ豚の角煮を見てバランスよく交互に入っている脂身と肉を見たときに『あ。積み上げたらジェンガになる!』と思いました」

と教えてくれた。日々食品サンプルを作っていると、食べ物の見方もちょっと変わってくるのかもしれない。作品や商品のアイデアは、夕飯時に思いつくことがほとんどだそうだ。

角煮のジェンガは、「ジェンガ(のブロック)に見える肉」を複数作り、積み上げたものらしい。現在はブロック同士が接着されてジェンガとして遊ぶことはできないが、製作者が接着前に自宅で試してみたところ、

「すごい難しいです(笑)」

とのことだった。確かに、肉と脂身では断面の質感も違いそうだし、まっすぐ積み上げるのは難しそうだ。

現在は接着されている(写真はRokusanさん提供)
現在は接着されている(写真はRokusanさん提供)

ちなみに、角煮のジェンガはソラマチ店に展示されている1点しか存在しない。

岩崎が1968年から毎年実施している社内コンクールのために制作されたもので、同社の広報担当者はコンクールについて、

「製作コンクールの最大の目的は技術開発、向上、商品開発、および継承です。
当社の製作コンクールは1968年(昭和43年)に始まって以来51年以上にわたり続く取り組みです。
本物と区別のつかない超リアルな作品や遊び心あふれるユニークな作品など、毎回数々の作品が生み出され、多くの新技術や新しい表現方法の発見、新商品の開発へとつながっています」

と説明した。

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