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都心発のアイデアが地方を変える? 移住だけじゃない、新たな「地方創生」のカタチとは

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2019.10.21 15:00
提供元:パソナ

都市部の豊富な人材が、地方が抱える課題について本気で向き合ったら――。きっと、日本の魅力は何倍にもなるのではないか。

そんなアイデアを現実のものにしようとするプロジェクトが始まった。

2019年10月5日、地方が抱える課題の解決方法について、都市部人材との交流を通じて考えるイベント「地域課題解決チャレンジサミット」が、東京・大手町のイベントスペース「TRAVEL HUB MIX」で行われたのだ。

会場に集まった地方自治体の担当者が、それぞれの地域が抱える具体的な課題を具体的に発信。それについて、都市部の学生やビジネスパーソンらの参加者が、自身のバックグラウンドと照らし合わせながら、課題の解決に向けたアイデアを提案していく試みである。

老若男女が地方の課題解決にアイデアを出し合った(写真は2019年10月5日、編集部撮影以下同)
老若男女が地方の課題解決にアイデアを出し合った(写真は2019年10月5日、編集部撮影以下同)

地方創生の「ネクストステージ」とは

内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が地方創生に向けて進める「全世代・全員活躍まちづくり」。多世代が生涯にわたって活躍・共生できるコミュニティづくりなどを目指す施策だ。

6月1日、この施策に先進的に取り組む5つの自治体による共同活動拠点がオープンした。

名前を「生涯活躍ポータル『カラフル』」という。

北海道東川町・福島県伊達市・山梨県都留市・鳥取県湯梨浜町、南部町

これら5つの自治体は、都道府県の枠を超えて共同し、地域課題解決の志とスキル・アイデアを持つ個人や企業と各地域の交流の機会の拡大を通じて、ミッションターン(Mターン=期間を限定して地方で働くこと)や関係人口の拡大に取り組んでいる。

今回の「地域課題解決チャレンジサミット」には、この5自治体の担当者がグループディスカッションの登壇者として参加。一般からも約200超の参加申し込みがあったという。

「関係人口」ってなんだろう
「関係人口」ってなんだろう

イベントではまず、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局から、内閣参事官の中野孝浩氏が「都市部人材×地方自治体による地域課題解決の可能性」というテーマで話を始めた。

14年12月27日に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定されてから、およそ5年が経つ。政策の中には「地方へ新しいひとの流れをつくる」という基本目標がある。しかし今なお、地方から首都圏への人材流入は止まっていないのが現状である。これに中野氏も、

「当初は、転入と転出の差を0にしようというのが目標だったのですが、現状をみますと(首都圏一都三県において)13万を超える人が転入超過となっている」

と話す。そうした現実を踏まえて、2020年度から2024年度までの総合戦略は、「地方へのひと・資金の流れを強化」といった方針のもと、

「関係人口(完全な移住には至らないが、特定の地域に何らかの関係をもつ人)」

の創出・拡大を目指すという。

つまり、地方と都市で人材の共有をするということだ。それには都市部の企業との連携が必然となる。移住するか/しないかという二元論で話を進めるのではなく、行き来できるような関係を取り込めないかと検討していると述べた。

熱気あふれるディスカッションの様子

続いてパソナのコンサルタントで、キャリア支援事業本部所属の山下弘晃氏が「活躍する人材が保有するスキル」として、「コミュニケーション力」や「変化対応力」「率先力」などを挙げながら、キャリア形成について話をした。

本イベントには、人事・人材開発に携わる社会人も参加しており、熱心にメモをとる姿があった。そして実際に地方に移住し、地域課題解決に取り組む人の事例も紹介された。

60歳で定年後、地元石川県にUターンし、羽咋(はくい)市職員として地域商社機能推進室担当となった岡田常一氏が現場の様子を語った。

大学入学まで石川に住んでいた彼は、その後東京でエンジニアとして働きながら、海外でも仕事をしていた。「地方創生」という金看板にあこがれた彼は田舎に戻り、田舎のために働きたいとUターンの理由を述べた。

そんな彼を受け入れた、羽咋市、6 次産業創生室長の中島一明氏もバックグラウンドが豊富な人材は地方にとって貴重であり、今後も受け入れていくこと考えていると述べた。

会場には老若男女が訪れていた
会場には老若男女が訪れていた

続いて行われた「地域課題解決グループディスカッション」では、先述した5つの自治体が、それぞれの市町が抱える課題を発表した。

北海道東川町「留学生と東川の子どもたちが一緒に取り組む」
福島県伊達市「空き店舗を活用した中心市街地の活性化」
山梨県都留市「大学と連携したまちづくり」
鳥取県湯梨浜町「都市部の受け手側の視点に立った情報発信」
同県南部町「空き家流動化および活用のビジネスモデルづくり」

それぞれの課題を聞いたイベント参加者たちが、自治体の担当者と直接意見を交わしながら、解決のためのアイデアを提案していくという趣向だ。

円形になってそれぞれディスカッション。こちらは鳥取県湯梨浜町グループ
円形になってそれぞれディスカッション。こちらは鳥取県湯梨浜町グループ

鳥取県湯梨浜町のディスカッションを覗くと、町の魅力をSNSでどう伝え、認知してもらえるかが議題に挙がっていた。16人程度の参加者が集まったサークルからは、次のような意見が。

「何かのイベントのついでに湯梨浜町にいってみることもできる。だから(情報発信側が認知してもらうために)イベントのキーワードと共に湯梨浜町を結びつけ、そこに引っかかるユーザーを呼び込んでみるのはどうかな」

また、大学のプログラムで湯梨浜町に訪れたことがあるという人は、

「すでに(湯梨浜町の魅力を)体験したことがある人などが、具体的な口コミを発信することができればいいな」

という。

そのほか、福島県伊達市のディスカッションは、日本一の生産を誇る「あんぽ柿」という食材をどう生かすというテーマから、話題は「空き店舗」の活用方法に発展した。

「ミシュランを持つお店があんぽ柿を使って提供すればいいのではないか」
「若者が集まるゲストハウスをつくって集客する。あるいは空き店舗を企業に貸し出して、運営してもらえば」

担当者も都市部から届く生の声をメモ。40分以上にわたるディスカッションはあっという間に過ぎた。

後日、こうしたグループディスカッションを発展させた「地域課題解決チャレンジコンテスト」も開催される予定だ。都市部の参加者や企業が考えた課題解決のアイデアを、参加自治体のトップに対して直接提案する。

最終的には、このプロジェクトがから生まれたアイデアを、行政事業として予算化・事業化することを目標にしているそうだ。

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生涯活躍ポータル拠点「カラフル」では、地域課題解決に興味のある方を募集しています。今後のイベント情報などの詳細は、以下のURLで確認することができます。

公式サイト:http://www.kanmin-renkei.jp/colorful
フェイスブックページ:https://www.facebook.com/portal.colorful
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