すべてが怨念で埋め尽された「黒い家」 なぜこんな惨状に?家主が明かした真相
キッカケは工務店?
この家があるのは埼玉・蓮田市の某所だ。詳しい場所の記載は控えるが、検索すると住所もバッチリ出てくる。
近くに車を停めてじっくり建物を見ると、以前ネットで見かけたときより、壁面などへの文字の書き込みが多くなっている気がする。
訪れたのは17時30分ごろ。そこにはTシャツに短パン姿の男性が脚立に乗っていた。
どうやら今まで黄色で「自民~」と書かれていた文字を黒のペンキで消している最中だ。
謎すぎる家で作業をする男性――念のため、筆者が着ている服が汚れても惜しくないものか確認したうえで、「こんにちは。ここのご主人ですか?」と恐る恐る声をかけた。
すると、
「そう。金がないからここに住んでいる」
と物腰の柔らかい声で返答があった。
この男性、フルネームが書かれた株券を塀に貼付しており、名前をHさん(仮名)という。
何年ほどこうした書き込みを続けているのかを聞いたが、
「さあ... 結構長いね」
とHさん。しっかりとは覚えていないようだ。
長いこと書き込みを続けているのは確かなようで、敷地の至るところが黒く、そして文字が書かれている。
窓もない家だがHさんは長らくここに住み続けている。家の中にはテレビなど必需品も揃っている。
色々と書かれているが、どういった内容なのか。文字だけでは支離滅裂といった印象だが、株やこの家を建てた工務店に対する批判的なメッセージが書かれている。
Hさんはメッセージについて、
「ここに書かれているのが真相。でも、僕の話だけで完結しちゃダメだよ。ちゃんとこの近くにある工務店にも話を聞いてあなたが判断しなきゃ」
と話した。
そもそもこんな家になったのは何故なのか。
「京都に住んでいたんだけど、蓮田市の危機管理課から『家がすごいことになってる』って電話があって、戻ったら大変なことになっていた」
「こんなことなら戻ってこなければよかった」
大変なことと話すHさん。「普通の家じゃありえない」ほどの破損等があったようだ。
また、株についても何らかの出来事があったようで、多くは語らなかったが、
「お兄さんは株やる? やるなら塩漬け(編注:現在の価格が買い値よりも下がっていて、売ると損が出る状態であるために、やむをえず長期保有していること。株価が近い将来も上がりそうにない銘柄を持っている場合によく使われる用語)が一番だよ」
と話すのみだった。
塀には株券が大量に貼り付けられ、1997年に倒産した山一證券への言及もあり、そちらの方が雄弁だ。
あまり多くを語らず、突然訪れた筆者にも優しく接してくれたHさん。険しい人生を歩んできた結晶がこの家なのかもしれない。
別れ際、この家について、
「面白い家でしょ?」
と話したHさんの顔は一瞬だけ笑顔だった。