いくら飲んでも大丈夫? 宿泊もできる「ふとんバー」、長崎・五島の観光拠点に
長崎県の西部、五島列島の南西部にある五島市のゲストハウス「雨通宿(うとじゅく)」が、いま話題になっている。
このゲストハウスは、2012年、瀬川寝具店が開業。「布団ならたくさんあるから、布団を使って何か新しい事業ができないか」と考え、ゲストハウスの経営を思い立った。家族が生活していた奥の部屋を改造し、ベッドやシャワールームを設置。最大14人が宿泊できるドミトリー形式のゲストハウスをオープンしたのだ。
2015年、バー「FUTON HOUSE」(通称・ふとんバー)も併設され、若い旅行客や移住者らで賑わっている。若者たちを引き寄せるゲストハウス、ふとんバーの魅力とは、いったい何だろう?
Jタウンネット編集部は、長崎県に電話して、詳しい話を聞いてみることにした。
ゲストハウスは情報交換の場
電話で答えてくれたのは、瀬川寝具店マネジャーの瀬川彦一さんだった。
「私は長崎市で働いていたのですが、6年前、母親を手伝うために五島に帰って来ました。長男なので、いずれは帰ろうと思っていたので、良いきっかけだと思いました」と瀬川さん。
こうして五島で初めてのゲストハウスはスタートした。オープン当初は周囲からずいぶん厳しい言葉もかけられたというが、バックパッカー、大学生など、徐々にお客さんが増えてきた。やがてSNSで話題になり、関東や関西からの旅行者の予約も入るようになった。今や九州以外のお客さんの方が多いほどだという。
「外国人のお客様も増えましたね」と瀬川さん。「2~3年前までは、多少は日本語を話す方がほとんどでしたが、最近はまったく日本語が話せない外国人も多いです。アジア人だけでなく、欧米人が目立って増えてきましたね」
「皆さん、どこでうちのことを知ったのだろうと、不思議だったのですが、どうやらSNSで情報交換されているようですね」と瀬川さんは語る。ゲストハウスや民泊に関する情報は、利用客の投稿によってネット上に広がっているようだ。
瀬川さんは話し続ける。
「うちのゲストハウス自身も情報交換の場なのですが、3年前オープンした『ふとんバー』はまさに情報交換の場になっています。うちの宿泊客だけでなく、五島市内に滞在する旅行客や移住者が集まって、旅や暮らしの情報を交換する、そんなコミュニティになっています」
五島市への移住者は年々増えており、16年度で66人、17年度は129人、18年度は202人と、急増しているらしい。しかも20代、30代の青年層が、約7割を占める。観光をきっかけに、やがて移住へ......と進む若者も少なくないという。
ゲストハウス「雨通宿」や、ふとんバーで、観光客や移住者が増える五島市の活気の一端が、感じられるかもしれない。
最後に、瀬川さんはこう語る。
「私は、五島の海の美しさは日本一だと思っています。ダイビングや海上スポーツも存分に楽しめます。また五島列島の中には、ユネスコの世界遺産『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』の構成資産もあります。ぜひ一度、五島を訪れてみてはいかがですか」